土中深くでの有機物の分解はなかなか進まないというお話
畑の土質改善には物理性・化学性・生物性の改善の3つの要素があります。どの1つが欠けても健康な土壌にはなりませんが、これらはそれぞれが独立して存在しているのではありません。
私はいろいろ考えて、この3つの要素をふまえた土質改善には堆肥を入れるのが一番有効だろうと自家製草堆肥を作ってはセッセと漉き込んできたのですが、最近は堆肥枠で堆肥を作らずに、畝間に落ち葉や刈った草を敷いたり、野菜残渣を土中に漉き込んだりして畑で発酵・堆肥化させる実験をしています。
以前、一気に土質改善をしようとして、畑に5~60㎝ほどの深い溝を切って落ち葉を大量に投入したことがあります。いわゆる落ち葉床というものをやってみたわけです。「土の深いところにもたくさん有機物を入れればすごく効率的に地中深くから腐植が増やせるに違いない」と考えたんですけど、さあ、果たしてそれはどうなったか?
焦げ茶色の層が圧縮された落ち葉です。その上の土の層が青いのは、通気性の悪い土の中で、微生物が有機物の分解のために酸素を消費することで起こる酸欠状態によって、鉄分が還元された色です。
ま、土がこうなってしまっても、よく耕耘して空気と触れさせれば無問題なんですが、良かれと思って地中深くうずんだ有機物は全く土壌改善の役に立っていないどころか、かえって酸欠状態を生み出してしまっているということがわかります。酸素のない土に植物は根を張れません。(^^;)
好気発酵なんだから当然のことですが、有機物の分解はたっぷりと空気のある表層で行われるのであって、空気の少ないところでは進みません。
こんな感じで畝間に落ち葉や刈った草を敷いてその場で発酵・堆肥化させたり、野菜残渣を土中に漉き込んだりするときも、できるだけ浅く土をかけて酸素にふれやすくする方が理にかなっているわけですね。
以上、有機物を畑で直接分解する実験の経過報告でした。こちらの方が手間はかかりませんが、堆肥枠で草堆肥にする方が発酵がうんと速いかな。
なにはともあれ、土質改善は地表から。(^^)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?