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11月17日 日本製肌着の日

 夜中に目を覚ますと、同じ布団に眠る2歳の娘がごそごそと動いている。泣くでもなく、私を呼ぶでもない。ただ、もぞもぞと。しばらく薄目を開けて見ていると、太もものあたりが痒いのか、本人は目を開けずに手と足だけを動かして、太ももあたりを掻き始めた。このところ日中も痒がることがある。冬が近づき、乾燥が始まったのだと思い、いつもより保湿クリームを塗るなど対策はしているが、痒みが無くなる様子はない。

 そりゃそうだ。クリームを塗ろうが痒いものは痒いのである。私自身、幼い頃にはアトピー性皮膚炎を患っており(もしかしたら今もかもしれないがほとんど影響はない)、酷いときにはやはり就寝中に無意識で内肘を掻きむしる。朝起きると、爪の間に薄い皮膚や乾燥した皮膚、掻きむしって出た血が挟まっていたりする。我ながらゾッとした。

 そんな私の娘である。乾燥肌に加えてアトピーの気もあるだろう。朝起きたら保湿クリームだけじゃなく薄く薬も塗ってあげよう。そう思いながら、夜中を終えて目を閉じた。


 おはようと言って寝室の電気を付けながら娘を起こす。まだ眠いのか、なかなか目を開けてくれない。無意識でも夜中に起きていることがやはり負担になっているのではないか。もう少し寝かせてあげたいと思いながら私も布団に潜り込み、娘を抱きしめる。

 まだ、幼い子供のミルク臭さが感じられて妙に嬉しくなる。もうあと何年もすれば、いやもう1年も待ってくれないかもしれない。こんな風に甘いような、でもどこか生臭い匂いは彼女からはしなくなるのだろう。そんなことを思うと私も起きられなくなる。
 
 ずっとこうしていたい。

 うーん、と寝返る我が子を抱きしめ、匂いを嗅ぎ嗅ぎお腹に触れるとポコンと出ている。私は思わず笑い、肌着をズボンに入れようと軽く引っ張ると、肌着にタグがあることに気づく。丁度、外ももの辺りにそれがある。

 これも痒みの正体ではないか。私は何となくタグの文字を読み、それが肌に触れないように娘のズボンを上げ、その上から肌着を出した。娘を起こさないようにして、タンスの引き出しを引く。
 お祝いやお下がり、足りないかと思って買い足したものなど、そこは子供の洋服で溢れている。肌着もたくさんあり、1つずつタグを見た。数枚見て、やっぱりなと思う。
 外国製の肌着は大人の服と同様にタグが内側につけられているものが多い。縫い目も内側だ。一方で、日本製肌着はタグが外側にあり、縫い目も外側。見た目には前者の方がいいだろう。けれど子供の柔らかくて傷つきやすい桃のような肌には、出来るだけ触れる凹凸が少なくなる後者の方が優しい。

 そう言えば、私が小さな頃に着ていた母手作りの産着や服は同じように縫い目を外側にして、優しく作られたものだった。

 きっと同じように子供を想ったどこかの誰かの愛が優しい子供服を作るようになったのだろう。

 不器用な私には手作りなどできない。けれど、子供の肌着を選ぶときに日本製を選ぶことが手作り同様の親の愛情になるのかもしれない。そう思いながら柔らかい肌着を手にとる。

 日本ではどこかの誰かの優しい愛が、私の子を想い肌着を作ってくれている。もっと世界に広がるといい。

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【今日の記念日】
11月17日 日本製肌着の日

愛知県名古屋市に本社を置き、国産肌着の企画製造を行う株式会社HEALTHYA(ヘルシア)が制定。高い技術力を持つ日本の高品質なインナーを国内外にPRすることが目的。日付は11を2本(=日本)の線に見立て、17をインナー(17)と読む語呂合わせから。


記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。


 

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