見出し画像

12月1日手帳の日

 この時期になるとソワソワする。

 来年の手帳、どれにしようか。


 最近のあらゆる雑誌では手帳の書き方やその活用法、オリジナルやこだわりの記入例など、手帳の特集が組まれるものが多いと感じる。そんなに需要が高まっているのかと、私も購入してしまうので、まぁそんなものだろう。

 予定なんて、スマホに登録しておけばいいのかもしれない。設定すればアラームだってリマインダだって使えるから予定を忘れることもない。あれはいつだったっけと思い出したいならばワード検索でもすればすぐにヒットすることだろう。パラパラといつだか分からないページを捲らなくても良い。

 でも、開くページにある『ここ、美味しい!また行きたい』と言う感想や『もっと早く行動すべきだった』などという反省なんかも、スマホでスケジュール管理をしていたら、たまたまそれを見るなんてことはないだろう。自分で思い出さなければその店に再び行くこともないし、反省を活かして早めに行動することもしないかもしれない。

 思い出さない時点でその程度なのかも知れないけれど。

 でも私は、そうやって過去のページやまだ白紙の未来のページに思いを馳せることが好きで、それがやめられないので毎年手帳を買っている。

「手帳、お探しですか?」

 雑貨店の手帳コーナーをうろうろしていると店員さんに話し掛けられてしまった。少し困ったけれど、いい機会なので聞いてみることにした。

 私にはどの手帳が合っていますか。

「そうですね、まずは細かく書きたいですか?それともざっくり?」

 そう聞かれ、最初から迷った。

 予定自体はざっくり、全体で見られると良い。それとタイムスケジュールまで細かく手帳に書こうとは思っていない。でも先のような、一言日記みたいなものを吹き出し的に書ければいいなとも思う。

「ではどちらかと言うとざっくりですかね。でしたら見開きのマンスリーか、週間ブロックタイプでもいいかも」

 マンスリーは分かる。でも週間ブロックは知らなかった。教えてもらうと、7日分+フリースペース1マスの合計8マスのブロックになっている手帳があるらしい。

「予定はもちろん、一言日記くらいなら書けますよ」

 現物をパラパラとめくらせてもらう。あぁ、でも1ヶ月をざっと見開きで見たいなぁ。先週はこうだったな、とか思い出したり浸ったりしたい。

「では、やはり見開きマンスリーですね。フリースペースが少し多めのこちらなんかいかがでしょう」

 店員さんが見せてくれた手帳を見て何だか少し嬉しくなる。

 私が毎年使っているものと一緒である。

 お礼を言い、新しいものを1冊受け取りレジに向かおうとすると、同じ方に呼び止められた。

「手帳の最初か最後のページに、自分の基を書くことも素敵だとおすすめしています。好きな食べ物や場所、本、自分はどのような人物か、ページを繰る都度、自分を確認できる。そうして向き合う時間を作れるのが手帳です。どうぞ、素敵な手帳ライフを」

 店員さんは優しく微笑んだ。

 手帳ライフってなんだ。そう思いながらも、既に頭の中で私と私が向き合っていた。


 来年のこの手帳にはどんな私を書き込めるだろう。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【今日の記念日】
12月1日手帳の日

ビジネス手帳の元祖「能率手帳(現・NOLTY)」を製造販売している株式会社日本能率協会マネジメントセンターが制定。日付は師走に入り、手帳を活用して1年を振り返り、新しい手帳を準備する時期であることから。書店や文具店などの手帳売り場でのキャンペーンなどを行う。


記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?