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1月2日Life2.0の日

 おぎゃーっと大きな泣き声をあげ、この世の中に生まれた時、その目の前はまぶしすぎるほどの光に溢れていた。

 もしかしたら黄色い光だったかもしれないし、薄青い光だったかもしれない。けれど恐らくほとんど多くの人が白く光り輝いていたのではないだろうか。

 生まれた時に真っ白だった光は、成長するにつれて何色にだって変えられるのだ。

 1歳は緑色、2歳はピンク、3歳は・・・・・・と言うように、その色は1つではない。私たちの未来は明るく、どうにだってなれる。


 『人生100年』である。
 100色あったっていい。

 大きくなったら大人になると言う未来ではなく、宇宙飛行士になればいい。ケーキ屋さんになればいい。ファッションデザイナーにもなればいい。その未来にたどり着くまでは大人にならなければいいのだ。
 未来をどのように生きるか、自由に選択しよう。


「自分の好きな様に思い描いて生きていくってこと?」

 目の前に座る公平さんは言う。もしかしたら少し不思議そうな顔をしている。私はそれを和らげるべく、静かに笑って見せた。

「そうです。でもただそれを漫然と謳っていても叶わないのが残念だけど現実だから、その現実に合わせてリアルに思い描く。例えば何歳でそうなりたいのか、そのためにはどういう道があるか。自分でやろうと思える道はどれか。そこに必要なお金はどの程度か」

「お金って・・・・・・リアルだね」

 わずかにがっかりさせたかもしれないなと思う。

 けれど、実際にそうなのだ。夢や希望を並べるだけでは、夢や希望で終わってしまう。並べるだけでも十分幸せだったりするけれど、どうせだったらその夢に近づくための道をじっくり考えた方が幸せだし、堅実である。

「でも確かに、そこまで計画立てておけば不安も少なくなる」

 一緒に作成中のライフプランノートを眺め、公平さんは微笑んだ。

 彼は、夢だったカフェを開きたいと言う。私はそんなお客様の夢を叶える手伝いをするプランナーであり、現在は公平さんの担当者だ。

 自由に思い描く夢を現実的に考え、現実にする仕事。これって魔法だなと密かに自分で思っていたりする。

「魔法みたいだ」

公平さんが言い、私は驚く。心の声が漏れ出てしまったのかと焦る。

「好きなように思い描いて、それを目指して着実に進んでいけるのだとしたら、魔法の道を歩くようだ」

 私の心の声が聞こえたわけではなさそうで安心する。私はこっそり一息ついて答える。

「そうですね。でも」

「でも?」

「それらがたとえば魔法だったとして。けれど私も公平さんも魔法使いではないんです。だから、魔法を使って一足跳びには出来ないし、魔法であれば何もしなくても叶っているけれど、私達はちゃんと叶うように動かなくてはなりません」

 私が言うとやっぱり少し悲しい顔をする。私は、もう1度だけ『でも』と続けた。

「ひとりではないですから。魔法は使えなくても、私はあなたと一緒に魔法みたいな道を歩みます」

 これからの輝く未来を、共に。

 これはきっと私と公平さんだけの話ではない。生きている限り、歩いているその道には必ず誰かがいる。ひとりではなく誰かと共に100年を生きるのだ。

   今日を生きて、明日をひらこう。


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【今日の記念日】
1月2日 Life2.0の日

「今日を生きる。明日をひらく。」をブランドスローガンに掲げるマニュライフ生命保険株式会社が制定。同社では未来を前向きに自分らしく行動する生き方を「Life2.0」と名付けており、未来について考えるきっかけの日としてもらうのが目的。日付は「Life2.0」から2日、さらに一年を通じて自分が何かを始める日との意味を込めて毎月としたもの。

記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。

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