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1月6日カラーの日

 今朝の視界は一面真っ白だった。瞬間、頭の中も真っ白になり、けれど私はその寒さとは裏腹に胸の中に温かさを感じたのだ。それは安心にも近い。
 白はリセットの色である。

「行ってきます」

「うん、頑張って行っておいで」

 見送ってくれる夫に、私は思ったよりも笑顔で返せたと思う。


 昨年は自分の思うように仕事が出来なかった。それは恐らく自分の能力不足なのだと思う。けれど自分としてはその時精一杯やったつもりでいるのだ。この『その時は』というのがポイントで、よし出来た!と『その時は』思って作業を終える。しかし時間が経過し、上長が確認したときに間違いが見つかり、指摘を受ける。そしてようやくそこで自覚するのだ。そう言えばもっとちゃんと確認出来たはずだ、なぜこんな基本的な間違いに気づかなかったのだろう。すべて、指摘の理由も分かるのだった。そこで自作でチェックリストを作ってみるが、別の種の仕事に対しては機能しなかったりともはや意味を成さないのである。

 以前はどうしただろう。

 今の仕事は2年ぶりに復帰して、現在5ヶ月目である。休職していたのは夫の転勤があり、彼について行った為だ。今回の復帰は以前とは違う部署への配属となり、期間も開いていることから結局また1からスタートなのだ。ブランクがあると考えれば多少うまくいかなくても自分の中で仕方がないと思えるかも知れない。けれど、私の『うまくいかない』はブランクなど関係ないのではないかと思えるものである。

 Aの次がCなわけがない。

 1+1=3なわけがない。

 そりゃ見れば分かるでしょうと言う間違えをしてしまう。集中力がないのか、注意力が散漫なのか、そもそもやる気が不足しているのか。もしくはそのすべて。

 仕事納めの日、私の提出した書類に記載ミスがあった。幸い期日のあるものではなかったため、年明けに修正する事となったが、年内には終わらないと言うことでもある。

 そうして、もやもやの残る年末となったのだ。

 仕事始めである今日のなんと気の重いことか。例えば嫌いな人の眼前で大嫌い!と言い放ったあとで顔を合わせるような気まずさ。・・・・・・そんなことしたことはないけれど。そんなイメージと同様の気の重さなのだ。

「反省するところは反省して、あとは次の仕事にそれを活かせばいいんだよ」

 夫はそう言って私を正しく励ましてくれる。でも、すぐに前を向いて歩けるほど、私は強くない。

 だから、朝起きて窓を開けた目の前が真っ白の雪景色で良かった。新しい私が新しい世界の一歩を踏み出すようなそんな真っ白で本当に良かった。

 駅まで何歩歩けるだろう。まだ歩みのないまっさらな雪の上を、私は右足を一歩踏み出した。さく、と小気味よい音とともに力強く踏み込み、前にでる。わっと滲んで広がる様にして真っ白に色が付く。今度は左足も出してみる。また別の色が滲む。周りを見渡すと同じ方向へ向かう人々が進むたびに私と同じようにその白に色を付けていく。

 リセットし、色を付ける。

 真っ白だった視界は鮮やかな虹色に広がった。

 私は白でリセットし、そこに色を描いて今年を行くのだ。

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【今日の記念日】
1月6日 カラーの日

「カラー」の知識をビジネスに活かすセミナーや認定資格制度、検定試験などを実施し、カラーの普及活動を行う一般社団法人ビジネスカラー検定協会が制定。「カラー」を通して世界中の人たちに元気に活躍してもらうことが目的。日付は1と6で「カラー」の「色=い(1)ろ(6)」と読む語呂合わせから。


記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。

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