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12月13日大掃除の日

 今年もまもなく終わるのだなと、ぼんやりと思いながら窓を拭く。

 なんだか年明け早々にウイルスが蔓延したとかで外出自粛令なんかも出されちゃって、色々と計画していた予定はほとんど無くなってしまったな。そのせいで、育休からの職場復帰も遅れた。休暇手当が切れても2ヶ月くらいの無給ならまあ良いでしょうと思っての復帰計画だったのに、結局6ヶ月の無給生活で予想外にお金が飛んでいったなぁ。

 外出自粛令の間は保育園も休園になったりして、私はずっと子供と一緒に家の中だった。もちろんその間も、好きなように出かけられるわけでは無かったから、公園にも行けずに1日を過ごすことがどれだけしんどいかがよく分かった。でもってそれが毎日、数ヶ月も続いたものだから、最後の方は少し泣けてきた。思い返してもやはり泣きそうになる。私はそう思いながら、窓のサッシを丁寧にブラシでこすっていく。黒い埃や砂汚れで毎年真っ黒になる。次こそは毎年、と言わないで済むように半年に一度、いや気づいたら掃除をするように頑張ろう。そう、毎回決意している。毎回。

 何とかメンタルを奮い立たせてようやく職場復帰をしたのは真夏のある日だった。暑い暑いと言いながらも、そんな事は言っていられない緊張感があったりして、復帰したら復帰したでしんどい日々の始まりだった。

 頭が仕事についていかない。子供と過ごしていた間でも、多少はPCに触れていたはずなのに、頭が拒否をしているのか、パソコン作業ですら用語が入ってこないのだ。けれど、未経験者なわけではないし、年齢だってもう35歳と十分すぎるいい歳であるわけで、『ちょっと待ってください』『分かりません』『もう一度お願いします』がなかなか言えなかった。言えないままでいると、当たり前だけれどそのまま業務は進むので、結局分からないまま仕事をし、ある時、ミスをしてしまうのだ。そうして、仕事を辞めてしまいたいと逃げ出したくなる今日この頃である。今度は大きなため息をつき、うまくそこが湿ってくれたので、きゅっきゅと拭き上げる。

 そうして、一窓を拭き終えた。日の光がどこかで反射して、綺麗になった窓にあたるとよけいにキラキラと輝いて見える。窓越しに空を見上げ、ため息ではなく深呼吸をした。


 外出の機会は大きく減ってしまったけれど、この家で家族と過ごす時間はこれまでで最も多い一年だった。

 外出自粛、保育園も休園、職場復帰も延期になったけれど、随分と長い時間を子供と一緒に過ごすことが出来た。それはきっとあとにも先にも無いことだと思う。赤ちゃんではない子供と三ヶ月近くをずーっと一緒に過ごせたことは、絶対かけがえのない宝物になったはずだ。

 職場復帰して現在四ヶ月。年が明ければ五ヶ月を迎える。そろそろ長期休暇ボケが無くなってくることではないか。淡い期待だが、そう考えればもしかしたらここから名誉挽回出来るかもしれない。

 拭き上げた窓は私の目の前できらきらと輝き、それはまるで新しく迎える私の希望の様である。

 一掃すれば一新するのではないかと期待して、私は大掃除を続けるのである。年明けまでの猶予は十分にある。

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【今日の記念日】

12月13日 大掃除の日

一年の積もり積もった汚れを落としてきれいに新年を迎えてもらおうと、この日を「大掃除の日」と制定したのは大阪市に本店を置き、ビルの運営と管理、ハウスクリーニングなどを手がける株式会社東和総合サービス。日付はこの日が古くから「正月事始め・煤払いの日」とされていることから。

記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。

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