7月22日 夏チョコの日
私はチョコが好き
2歳の時、お昼寝していてふと目が覚めた私は台所のお菓子の棚を開けたらしい。寝かし付けをしてくれてた母はまだ眠っていた。
そこに、12粒入りのチョコレートの箱があり、幸か不幸か内袋が開いていたのだ。薄い外箱を紙のおもちゃのようにびりびりと破り、中身を取り出す。私はそこで初めてのチョコレートを口にしたのだった。
と、母からは聞いている。その後少ししてから母が起きて、隣に私がいないことに気づいて焦って探したところ、すぐそこの台所に私はいた。手も口も、その手で触れた壁や床もチョコレートまみれにしていた私だったそうだ。
「何でチョコ食べているの。ええ、どこから?チョコ食べるなんて・・・・・・」
動揺する母が頻繁に『チョコ』と言ったせいかどうかは分からないけれど、そのときに私は初めての二語文を口にしたという。
「チョコ、すき」
以来、私はチョコ好きのまますくすくと成長した(と、言ってもこの事件以降母は私が見つける場所にチョコレートをおくことはなく、しばらく食べることはなかった)。
4歳や5歳になると、母がチョコレートを与えずとも食べる機会が出来たりする。流れるまま、私も少しずつチョコレートが解禁されていった。私はチョコレートを食べるその都度、やっぱり好きだと実感していた。そうして、やっぱり手や口の周りをそれでべたべたにし、母に言う。
「ママ!大好き」
母は私のチョコレートまみれのその顔や手を見て、けらけらと笑ってくれた。そうして、母もまた私のことが大好きだと言って笑う。
私の中では、チョコレートは幸福の食べ物の気がしている。
でもきっと、笑ったその後の汚れた服や床の掃除には母も眉をひそめていたことだろう(ごめん!)。
あのころから私も成長してまもなく30歳も半ばである。娘も出来、お腹の中には2人目がいる。
「ママー!」
娘は4歳になり、私に似てチョコレートが好きである。私を呼び、少し遠くから力一杯に駆けてくるのだ。お腹を守りつつも、私は両手を広げて受け止める。
「ママ!大好き」
私が産婦人科を受診している間、近くの公園で遊んで待っていたのだ。
「おやつ買ったの。ママ、一緒に食べよう!」
そう言ってパパの持っていた鞄に手を入れて取り出したのは『BAKE』だった。久しぶりに見たそのパッケージは新しいものになっていた。袋を開け、中から一つを取り出して私とパパにくれる。
「はい、どうぞ」
知らなかった、今のBAKEは個包装になっているのか。包みを開け、口に入れた。ああ、美味しい。カリっと噛めば中からはとろりとチョコレートがとろける。娘もとても美味しそうに食べている。その手を見て驚いた。手が汚れていない。
ああ、そうだ。このチョコレート、とけないのだ。とろけるのに、とけないのである。私はもう一つ娘にもらい、口に入れる。
やっぱり、美味しいなぁ。
私が小さなころもこのチョコレートがあったなら、きっと母の服や顔、果ては家の床や壁なんかも汚れずに済んだだろうなぁ。
思いつつ、お腹に触れると、ポコっと動く。
2人目もチョコ好きなようである。
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【今日の記念日】
7月22日 夏チョコの日
夏でも溶けないと人気のチョコレート、焼きチョコ「BAKE(ベイク)」を2003年から発売している森永製菓株式会社が制定。本格的な夏の幕開けともいえる7月の第3月曜日(「海の日」)を、焼きチョコ「BAKE」などの夏向けチョコレートの季節の到来を告げる日としてPRを行う。つまりこの日は「夏チョコ開きの日」。(「海の日」は7月の第3月曜日だが、2021年は東京オリンピック・パラリンピック開催の特別措置で7月22日となる)
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。
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