5月18日 こりを癒やそう「サロンパス」の日
なんだろう、さすがにちょっと肌寒い。
おかしいな、5分も前には歌とケーキでお祝いをされていたはずなのに、なぜに僕は今、上半身裸でいるのだろう。
昨日の夜。
2歳の長女に抱っこをせがまれた。間もなく3歳になる彼女の体重はすでに14kg近くになっている。こう、ずっしりと大きく育ってくれて何よりである。うん、つまり、そう、重たいのだった。
ちょうどその日、職場で席替えや配置換えを行っており、重いものを勢いよく持ち上げたせいか、ぐきっと腰を痛めていたのだった。
「うーん、ごめんね、パパちょっと今抱っこ出来ないんだよ」
心苦しいが、お断りせざるを得ない。
「なぁんでー。パパ、出来るよ、抱っこ」
きゅるん、としたそれはもう可愛い可愛い目で見つめられ、僕はやっぱり彼女を拒むことなんて出来ないのだった。急いで大きく両手を広げ、彼女を受け止めるべく、しゃがんでそれを待つ。ずんっと腰を下ろして覚悟を決めるのだ。
「芹ちゃーん!さぁ、おいで!!」
「パパー大好きよー」
彼女も彼女で大きく手を広げ、全身でもって駆けだした。その先に待ちかまえる僕に、全身全霊の愛情をぶつけるようにして・・・・・・本当にぶつかった。真ん中よりも微妙に左にずれた状態で抱きつかれたので、バランスを崩してしまわぬよう、ぐっと腰に力を入れる。
ビキっと音がする。
「ひっ」
思わず息を引くような声が出て、それが僕の腰による悲鳴だと分かったのはすぐだった。
何とか体勢を整え、私の腰の悲鳴を聞きつけた妻に彼女を預ける。
「大丈夫?」
心配そうな顔で妻が私を見る。とりあえずサロンパスを貼ってくれるかと頼むことにした。そしてそのすぐあと。
「あ、サロンパス、もうなかった」
ひぃ、と再び声を上げたのは僕の心の声だった。
翌朝、つまり今日である。妙に違和感を感じつつも腰痛ベルトをして仕事に出かける。痛くないと言えば嘘になるが、なんとか職務を終えた。そのまま定時を迎え、いつもより随分早くに帰宅した。
僕の37歳の誕生日である。
大満足でディナータイムを終え、僕はプレゼントをもらった。妻からは欲しかった財布をもらう。すると芹佳がもじもじと僕のところへやってきた。
「パパ、お誕生日おめでとう!」
そう言って小さな包みを渡された。開けてみるとサロンパスがあった。
「あー!芹ちゃんありがとう!これ、今のパパに必要なものです」
そう言うと、彼女はドヤッとした表情を見せ、私が貼ってあげると言い出した。
そして、今ここに至る。
「芹ちゃん、出来た?パパ寒いよー」
「出来たよ!パパ、鏡で見てきて」
僕はようやっと立ち上がり、言われるままに洗面所の三面鏡を使って背中を確認する。
「ハートだよ」
鏡越しに、妙に照れた顔をする娘が写り、僕はまたきゅんとする。彼女の元に向かい、ぎゅっと抱きしめた。
「パパ、いつもぎゅーしてくれてありがとう」
そんな嬉しい言葉を言われたものだから、例えサロンパスが貼られた場所が明らかに患部ではなかったとしても、なんかもう別で癒されたからそれで十分と思ってしまう。
サロンパスの凝りをほぐす効能が心の凝りにも聞くとは知らなかった37歳の誕生日だった。
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【今日の記念日】
5月18日 こりを癒やそう「サロンパス」の日
「サロンパス」などの外用鎮痛消炎貼付剤を中心とした医薬品などを手がけ、貼る治療文化を世界へ届ける久光製薬株式会社が、新しくなった「サロンパス」の発売を記念して2015年に制定。貼って筋肉のこりや痛みをほぐす代表的な医薬品ブランドである「サロンパス」のPRと、肩こりに対する正しい知識の普及が目的。日付は5と18で「コ(5)り イヤ(18)す」と読む語呂合わせから。
記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
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