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7月1日 さしみこんにゃくの日

「ぽんにゃく!」

 そう言ってぴょんぴょん跳ねる3歳の娘が可愛い。まだこんにゃくがうまく言えないようだ。そう言えば、彼女は風船のことも「ぷうせん」と言っていた。どちらにしても可愛い。

 そう思って私が彼女を見ていることに気づき、同じようにして「ぽんにゃく!」と妹の真似をする小学1年生の長女もまた可愛い。

 ぽんにゃくは、こんにゃくである。

 リズムが良いのか、「ぽ」とか「にゃく」とか、その言葉の音が面白いのか、ぽんにゃくと連呼する時がある。

 二人揃ってこんにゃくは食べないくせに。

「君たち、ぽんにゃくばっかり言うならちゃんと食べなよね。おいしいじゃん」

 私が言うと、ぐいと顔を近づけて、べーッと舌を見せる。

「食べないよーだ!」

 ついでに鼻の下も伸ばしているのだから、可愛い顔が台無しである(でも可愛い)。

 

「あ、まんまるお月さまだ!」

 まだ白くぼんやり浮かんでいる月を指さして次女が言う。長女は自転車の後ろの椅子で鼻唄を歌う。保育園と小学校からの帰り道。

「ママ!たまごやき焼きたい」

 最近の長女は自分でたまごやきを作ることにハマっており、3日に1度は食卓に並ぶ。彼女が作ると食べる時間が遅くなるが仕方ない。ここで断っても逆にぐずりそうなのでありがたく受け入れることにする。

 魚とたまごやき、昨日のサラダを少し、お味噌汁とご飯、大人にはさしみこんにゃくも出しておけば立派な食卓だろう。

 帰宅して、超特急で準備する。

 夫もまもなく帰ってくるようなので、食事を先に。その間、姉妹は仲良く遊ぶ……わけでは決してない。

「ママー!ねぇねがぷうせん貸してくれないー」

「私のだもんー」

 わかったから仲良くしてくれと何度も頼むがそれも虚しく、わーわーきーきーと頭の中さえ混乱する。もう夕飯作りの段取りも何もなく、出来たものから順に食卓に並べることにした。

 魚を焼いている間にサラダを盛りつけ、それを食卓へ。相変わらずママー!と合唱が響いているが構っていられない。

 卵焼きの準備をしておき、皿に出したさしみこんにゃくを箸と小皿とともにこちらも先に食卓へ。それとそろそろご飯と味噌汁が出来る。夫もそろそろ。

「ただいまー」

 ピッタリだ。ああ、これで姉妹をみてもらえる。多少穏やかに夕飯準備が進められるか。

 あれ、姉妹?大人しいぞ。

「おーい、これ、食べちゃってるよ」

 リビングに入った夫が私を呼び、私も食卓に向かうと姉妹二人、大人しく食べているではないか。

 『月のうさぎおさしみこんにゃく』

「ええ!こんにゃく好きじゃないんじゃないの?」

「このこんにゃくは美味しい!とろりんってとろけるみたいー」

「全部食べていい?私、うさぎさんと一緒にぽんにゃく食べるのよ」

 二人ともさしみこんにゃくを頬張っている。その顔はこんにゃくそのまま、嬉しそうにとろけている。皿を見るとどうやらもう無くなりそうである。

 仕方がない。私はそう思い、冷蔵庫からもう一つの『月のうさぎ』と『生とろさしみこんにゃく』を取り出す。

 今日はみんなでぽんにゃくパーティだ。

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【今日の記念日】

7月1日 さしみこんにゃくの日

群馬県甘楽町に本社を置き、「こんにゃくパーク」の運営でも有名な、こんにゃくメーカーの株式会社ヨコオデイリーフーズが制定。同社の人気商品のひとつ「さしみこんにゃく」をPRするのが目的。日付は同社が1999年(卯年)の7月1日に「月のうさぎおさしみこんにゃく」を発売したことから。


記念日の出典
一般社団法人 日本記念日協会(にほんきねんびきょうかい)
https://www.kinenbi.gr.jp の許可を得て使用しています。



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