猫嫌いは罪なのか その2 

いよいよ猫2匹との生活がスタートする。

まずは、先住猫との対面、という大きな課題がある。
この先、夫と私のお間抜行進曲が展開されていく。

ご近所から移住してきた先住猫は
我が家に来て2倍くらいの体型になったとはいえ
本当に穏やかで飼いやすく、家族として全く困らない存在になっていた。
だからこそ、猫嫌いの私も「まぁもう一匹増えてもいいか・・・」
と、思えたのである。
ただ、穏やかで優しい性格、なんていうのはこちらの一方的な判断であって
本人も勿論居心地は悪くないのだろうが
実際、猫としてどうなのか、なんていうのはわからない。
事実、移住してからしばらくは、実家(保護してくれたお宅)で同居していた猫がちょいちょい訪問してきては喧嘩を売られ
明らかに負けていたので気弱なんだろうと思っていた。

そんなわけで先住猫に甘えてしまい
「この子なら新参猫を受け入れてくれるはず」などと
慎重に段階を踏まずケージにいる保護猫と対面させてしまった。
一応私なりに調べて、匂いなど餌付け段階でお互いに感じさせたつもりだったが後の祭り。

ま、当たり前ですが
シャーの嵐。とてもびっくりしたのでしょうね。
我が家に来て5年。
はじめてみた「怖い」顔でした。
きっと一番怖かったのは先住猫本人なのだ。
かわいそうなことをしてしまったな、と今でも思う。
今の今まで自分の城であったのに、いきなり新人が現れたのだから
本当にそれは大きな出来事で、人生を揺るがす瞬間だったに違いない。

一方、新人のほうはといえば
まず、医者に行ってから丸一日、ケージの中でじっと動かなかった。
ハンモックのような場所があるのだけれど
そこでじっとしたまま過ごしていた。
こちらもきっとショックが大きかったのだろうと思う。
医者では洗濯ネットに入っておとなしく診察を受けたようだったが
それはそれで怖かったに違いない。

飲まず食わずで心配したが、さすがに丸一日経つ頃
ちゅーるを切な顔でぺろぺろと舐めたのでほっと一安心した。
その後はケージの中でがしゃんがしゃんと暴れていたので
ま、クリアしたんかな、と思っていた。

そうこうして二日くらい過ぎたころ対面したのだが
先述の通りの有様だった。

一番ショックだったのは、軽く考えていた自分自身に対する衝撃。
愚かというか・・・猫たちの心を傷つけたのではないかという
罪悪感というか。
だからって重く考えりゃいいかと言えば、そうでもなかろう。

夫などは気楽なもので
「ま、ひと月もすれば慣れるだろう」といって鼻歌なんて歌っている。
単純にお気に入りの猫が増えてご機嫌なのだ。
もしかすると、それでいいのかもしれないな。とつくづく思う私であった。

その反面、私はどこかで
「やっぱり猫って怖い」という思いが
密かによみがえったような気がしていた。

つづく


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