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「いじわるな日本人」に、善意を前に繋ぐ提案。

こんにちは、あんなです。

日本で暮らしていると「自業自得」や「自助」という言葉をよく耳にします。「他人に迷惑をかけること」が悪であり、「迷惑」な人に対する攻撃は容赦が無いです。

ですが、人であれば誰しもが時に迷惑をかけることでしょう。
私自身、今まで色んな人たちに迷惑をかけ、助けられ、今日に至っています。
みんなそうであろうに、何故他者に対してあれほどまで矢を向けるのか。
これまで私は様々な事件に腹を立ててきましたが、最近は悲しい気持ちでいっぱいです。

入管法改悪

先日、ウィシュマさんの遺族の目の前で、入管法の改悪案が衆院を通過しました。
国際人権規約 自由権規約委員会から勧告を受けている内容を保持し、難民申請3回目で原則強制送還するなど、難民問題の現状を悪化させる法律です。日本の難民認定率は1%未満。この数字をさらに悪化させる法律でしょう。

日本で難民問題の話をすると必ず「自業自得だ」という言葉を浴びせられます。「母国に守ってもらえ」「国に帰れ」と、平然と彼らはいいます。

しかし、日本という裕福で平和な国で育った彼らに、「難民」の何がわかるのでしょうか。私が難民の方々の生活を肌身で知ることは、私自身が難民にならない限り不可能でしょう。

以前、日本に滞在する難民の方々と触れ合うバーベキューに参加させていただいたことがあります。そこで様々な国の方のお話を伺うことができました。

私がお話を伺った方は、いつ殺されるかわからない毎日を送る中、手当たり次第にビザ申請をしたそうです。殺される前にまず最初に返事が来たところにとりあえず向かう。他国は、日本よりも難民認定率は高けれど、そもそものビザ発行のハードルが高い国が多く、最初にツーリストビザが下りたのが日本だった。もちろん、その時点では日本の難民認定率の低さなど知る由も無く、藁にもすがる思いで手荷物一つで渡日。むしろ「平和」なイメージがある日本に行ける、やっと命の危険の心配をせずに、平穏な毎日が送れると、ポジティブな気持ちだったそうです。

しかし来日後すぐにその現実に直面します。
ツーリズムビザでは仕事ができない。ワーキングビザを申請しようにも、日本はビザの縛りがきつい。そもそも日本語ができない。難民申請をするも、なんと結果が出るまで平均で4年以上かかる。手続きをしている間にオーバーステイになってしまう。

そんな人たちに向けて「自業自得だ」と言えてしまう人の暴力さ。
そんな人たちを収容して、犯罪者のように扱うことが「当たり前だ」と言えてしまう人の恐ろしさ。

私は、そんな人たちを心から軽蔑します。

世界の優しさランキング:World Giving Index 

みなさんは、世界寄付指数(World Giving Index)をご存知でしょうか?
イギリスのチャリティー団体 Charities Aid Foundationとアメリカの世論調査企業ギャラップが共同で調査している、世界の人助けに関する指数です。
→WGI 2022 Report

この指数による世界で最も優しい国Top10は以下の通りです。

WGI 2022より

「他人を助ける」「寄付をする」「ボランティア」の三つで測られるこの指数では、インドネシアがなんと5年連続で1位。理由として、インドネシアには"philanthropic culture of collective actions"(集団行動の慈善的な文化)が挙げられています。

では日本はこのランキングのどこに位置しているでしょうか。

WGI 2022 より

なんとワースト2です。
特に「他人を助ける」項目はワースト3のアフガニスタンに比べて20%も低い24%です。

こちらのレポートでもありますが、日本は文化的に「義務」は遂行するけれど、「善意」で動くことは少ないと言われています。特にそれが友人や家族の枠を超えた「他人」になると尚更でしょう。

私自身の経験からこれを考えてみると、一つの例が思い浮かびます。
私がアメリカで暮らしていた頃、よくスターバックスのドライブスルーを利用していました。
すると定期的に「お代金は前の車の方からいただきましたよ!」なんてことがありました。
名前も知らない、顔もわからない私のコーヒーを「素敵な1日になりますように!」という言葉と一緒に奢ってくれたのです。まさに「他人を助けて」くれたのです。

このような「優しさ」の現れ方は、なかなか日本では経験しません。
だから良い悪い、という話ではなく、ただ、日本の中に「それをしたら顔も知らない他人の生活が少しハッピーになるから」という動機で動く方は、私が知る中でも少ない、という観察です。

「日本人はいじわるがお好き!?」

こればかりか、日本人は「スパイト行動」を取る傾向があることが90年代の実験でもわかっています。「スパイト行動」とは“自分が損をしてでも相手を出し抜く”ことを意味します。

その名も、「日本人はいじわるがお好き!?」と題された研究(西條辰義)で、用意されたゲームを使ってみたところ、日本人は自分がダメージを負ってでも、相手を上回ることを選ぶ傾向があることが分かったのです。この行動傾向は「スパイト・ジレンマ」と名付けられました。

比較のために、その後アメリカ人を対象に同じ実験が行われましたが、やはり日本人の方がスパイト行動をとる結果が出ました。その後別の研究者の間で同じ実験が行われるも、カナダ人、中国人など他国に比べて、やはり日本人はスパイト行動を取る。

この理由として、研究では日本の同調圧力問題が挙げられています。
誰か一人がwinになるよりかは、自分が損をしてでもみんなでlose-lose になることを選ぶ国民性があるようです。

もちろん、ゲームからでは読み取れない複雑な文脈もありますし、実際に日本で生活していて心優しい人には日々出会います。しかし全体の傾向としてこういった側面があるということは頭の片隅に置いておいた方が良いかもしれません。

難民などマイノリティーに対する不寛容にも、関連があるのではないでしょうか。

善意を前に繋ごう。

ことの改善は問題点を知らずして成すことはできません。
自分が損をすることよりも、他人が得をすることを嫌う人が多い日本。
そのままではみんなが足の引っ張り合いをして、どんどんと地に落ちていってしまいます。

このnoteを読んでくださった方は、是非今日「自分に何も得が無い良いこと」をしてみてください。このような行動のことを、英語圏では"Pay it forward"(善意を前に前につないでいく)や "random act of kindness"(不特定に行う無私無欲の行動)と言います。アメリカにはRandom Act of Kindness Foundationという団体まで存在します。
→https://www.randomactsofkindness.org/

私がスターバックスで経験したことも、この一つです。
名前も知らない誰かのおかげで、私は1日とても晴れやかな気持ちで過ごすことができました。それに習って、少し手持ちに余裕があるとき、私もよく後ろの人のコーヒー代を出してみることにしました。すると、奢った時も、晴れやかな気持ちで1日を過ごすことができるのです。

こうした小さなアクションが、いつか大きな優しさを生むのではないかと思います。

入管、今後のアクション

入管法は、次に参院の審議があります。
今後も引き続き監視の目を光らせたいと思います。

今後も引き続き関東で改悪反対アクションが行われるそうです。
次は12日(金)に国会前のシットインがあります。

入管法改悪反対アクション @BOND さまより

加えて、本日5月10日は名古屋地裁でウィシュマさんの死亡事件の裁判があります。

ウィシュマさん事件名古屋地裁日時

近隣の方は是非傍聴に足を運んでください。


長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。
今日も1日、みなさまにとって素敵な日になりますように。

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