未経験からカナダでSaaS企業のUIデザイナーになった話
はじめまして、バンクーバー在住UIデザイナーのAnnaです🌞
noteやるやる詐欺をして1年くらい経ってしまったのですが、重い腰を上げて初めての記事を書きます。たまーにXのDMでカナダでの就職やCoop留学について質問をいただくことがあるので、自分の経験が役立つかも!と思いnoteをはじめました。
今回は、日本で全く異なる業種・職種で働いていた私が、カナダでUIデザイナーとして就職するまでの流れをまとめたいと思います。
簡単な自己紹介
大学は英米語学科を卒業し、在学中はアメリカに10ヶ月留学、うち6ヶ月間はフロリダのディズニーワールドでキャストとしてインターンをしました🇺🇸(これを目的に大学を選んだ笑)
大学卒業後は、大手旅行会社で法人営業として3年間働きました。しかし、コロナをきっかけにキャリアチェンジを考え、会社に勤めながら土日などの空き時間に自分のペースで進められるデザインオンラインスクール、退職後に職業訓練校でWebデザイン・HTML/CSS/JSを学びました。その後バンクーバーの私立カレッジで半年間UIデザインのクラスを受講し(Coop留学)、現在は現地のBtoB向けSaaSスタートアップ企業でフルタイムで働いています。
流れを分かりやすくするため、仕事・勉強に分けてカナダ渡航前から今現在(2024年9月)までのタイムライン作りました :)
このタイムラインに沿って、大まかな流れを追っていきます。
Coop留学を決めたきっかけ
英語をもっと突き詰めたい
自己紹介にも書いた通り留学経験があるのと、日本でもアメリカ人の友達がいて英語を話す機会は多少あったので、日常会話にはある程度自信があり、大学時代にTOEIC930点も取りました。
その後、旅行会社で配属になった部署がグローバルな部署で、課によっては海外案件が多いので英語や他の言語も話せる方が他の部署より多く、配属された新入社員もほぼ留学経験者でした。そんな中、同じグループのマネージャーに「英語話せるんでしょ?」と海外クライアントとのミーティングに通訳みたいな形で参加することになり、結果あまり期待に応えられず悔しい思いをしました。(結局、その会議は仲介役的な立場のバイリンガルの方がたまたまいたので、その方のおかげで何とかなった)
また、同じ課でアメリカに数年住んでいた方が英語だけで外資機関にセールスしている姿を見て、「日常会話が話せる」ことにどこか満足していた自分ともっと上の人との差を強く感じて、「自信を持ってビジネス英語が話せる」ステージに行きたいと思いました。
これをきっかけに、ビジネスに特化したオンライン英会話を初めて、渡航後インターンを獲得するまで2年間続けてました。(サボってる時期もありましたが笑)
具体的なスコアで言うと、渡航の約1年前に受けた英語試験のレベルは英検準1級・CEFR B2(Linguaskill Businessというテストのスコア参照)でした。
デザイナーへキャリアチェンジをしたい
3年間法人営業として働いていて、自分に合わないなと感じていた矢先にコロナがきっかけで何か新しいスキルを身につけたいと思い、元々興味のあったデザインを学び始めました。(営業の時にプレゼン資料作るのが好きだった)
まずは自分に合っているのか確かめるため、デザインやWebマーケティングなど自分の好きなコースを自分の好きな時に学べるオンラインキャリアスクールに入会して、土日の隙間時間などに少しづつ学び始めました。Photoshopなどのツールの使い方やバナーやチラシのデザインを学び、初めて参加したコンペで選んでいただけたり、良いフィードバックをいただいたり、周りから褒めていただけることでこの方向性でいけるかも!と自信がついてきました。(ちなみにこのスクールは1年くらい入っていたのですが、忙しさを理由に数ヶ月間コースは何も受講せずに、コーチングだけ活用している時も全然ありました。)
そして、退職後に職業訓練校で3ヶ月間Webデザインを学びました。この時に初めてHTML、CSSと少しJSを学んでコーディングも理解していくうちに好きになりました。Webサイトのデザイン+コーディングを2本ほどクラスで経験し、楽しみながら学んでました。
上記の通り、「ビジネス英語のレベルを上げたい」「デザイナーへキャリアチェンジしたい」という2つの目標があり、Coop留学することに決めました。Coopのインターン先は自分で見つけないといけないというのは渡航前にもちろん知っていて簡単ではないだろうと思っていたのですが、同時に謎の自信もありました。笑
渡航後UIデザインを学びながら、フリーランスとして働く
Coop留学 UIデザイン6ヶ月間のクラスがスタート
2022年10月からTamwoodというプライベートカレッジでUIデザインクラスを6ヶ月受講しました。正直、個人的にはクラスの質は微妙でした。4週間ごとに異なるトピックの授業があり、私のクラスの場合は3人の先生がいたのですが、1人だけめちゃくちゃ良かったです。(でもその先生の私達のクラスの担当は1ヶ月だけだった🙃)その先生以外は教えるのが初めてで、授業の進め方上手くなかったです。でもこれはTamwoodだけの問題というより先生によってクラスの質が変わるので、プライベートカレッジあるあるな問題だと思います。良い先生が当たるかは運です🤞🏻
※授業内容などカレッジの話は、Twinsカナダ留学のもなきさんから以前Youtubeでインタビューいただいたので、もう少し詳しく知りたい方はこちらの動画が参考になると思います。
振り返ってみると、カレッジにいた時に自分の良かったという行動が3つあります。
1. 主体的に授業に参加する
具体的に言うと、他のクラスメイトたちがデザインのプレゼンをするときに、一人一人に良い点と改善できそうな点のフィードバックを伝えるようにしてました。「アウトラインとソリッドアイコンが混在してるから、統一した方が良い」とか細かいとこも言ってたからうざかったかもしれない、、。これをほぼ毎回やってたら、先生から皆んなの発表の後に"Any comments, Anna?" って名指しされるように。笑 自分で自分が発言しやすい環境を作れたと思います。
2. 良い先生に添削をお願いする
レジュメやポートフォリオの添削、面接前の相談事などを先生に相談していました。座学期間が終了した後でも3回ほど授業前の30分くらい時間をとってくれました。そのために授業中に良い関係性を作ったら相談しやすいと思います。
3. 対日本人クラスメイトでも英語で会話
私のクラスは10名中自分含め5人が日本人だったのですが、半年間彼らと一言も日本語で話してないです。こう書くと「英語しか話さないから!」って接する嫌なやつみたいに聞こえますが笑、そんなことは言っておらず初日にオール英語で接すると自然とずっと日本人と2人でいても英語で会話してました(最初の出だし大事)。他の日本人の子たちはESLから一緒で仲良くて日本語で話してたりしたので、「何かこいつ英語話すキャラだ」みたいに思われてたかもしれません。
※ クラス外の日本人の友達は普通に日本語使ってました。
日本のクライアントとリモートで働く
クラス以外の時間はフリーランスデザイナーとして日本のクライアントと働いていました。一番最初は前職の旅行会社でよく一緒に働いていたイベント会社の方で、「独立したのでサイトを作って欲しい」と退職の挨拶をする際に話をいただいて職業訓練校を卒業した直後(渡航直前)に制作に取り組み始めました。あとは、カナダ渡航後に同じカレッジでUXデザインを学んでいた方(しょうへいさんに感謝🙏🏻)からの紹介でカナダにある日系マーケティング会社や留学エージェント、Xで見つけた日本の制作会社とお仕事をしてました。営業やクラウドソーシングはせず、ありがたいことに人とのご縁で仕事を頂けていました。
フリーランスデザイナーとして働き始めて感じたのが、全く異なる職種でも汎用的なスキルは活きる!でした。法人営業時代、旅行やイベントの企画〜精算まで全て行っていたので、スケジュール感の把握、タスクの洗い出しなどはデザイナーになっても自然にできましたし、作業のスピード感や相手に説明する際のテンポ感、分かりやすい報連相、会話の往復が最小限になるようなコミュニケーションなどを褒められることが多かったです。営業時代は愛嬌で乗り切るポンコツ系(特に新入社員の時はザ・世間知らずでした。笑)で苦手な業務も多かったのだったのですが、汎用的なスキル+自分に合う仕事に出会えて仕事が楽しいと思えるようになりました。壁があっても楽しみながら登ってる感じです。
また、バナーやLP制作の仕事をいただいた制作会社では、つよつよデザイナーさんからメンターとして色々アドバイスやTipsを教えていただけました。駆け出しフリーランスの方はただ経験を積んで自己満になるのではなく、経験を積みながら成長するために他のデザイナーからのアドバイスが貰える環境で働くというのは大切だと思います。「デザインセンスある」と褒めていただいて、駆け出しデザイナーながらに自分の自信にも繋がりました。
いよいよカナダでの就活開始&本番!
私のカレッジは6ヶ月座学の後、リーディングブレイクといって2ヶ月間インターン先を探す期間がありました。その期間は引き続きフリーランス、就活活動、そしてクラスの分時間ができた&現地通貨を収入を得るためカフェでバリスタとして週3で働いてました。
ポートフォリオ・レジュメのアップデート
ポートフォリオは日本で職業訓練校を卒業する際に作っていたので、この期間はポートフォリオを一から作るのではなく、ポートフォリオに載せる作品の内容をまとめていました。
ポートフォリオとレジュメをアップデートする際に、学校の先生とADPListという世界中からデザインメンターを見つけられるサービスを活用しました。ADPListではカナダ・アメリカで働くデザイナー4人から、作品やポートフォリオの内容のフィードバックをもらいました。アメリカのディズニーで働くデザイナーとも出会えて最高なサービスです!しかもなんと無料です。お世話になった方にはカフェのギフトカードを贈ったりもしました。
応募開始
そんなこんなで、整ってきたのでIndeed・Glassdoor・LinkedIn・会社のホームページからApplyし始めました。カナダでのデザイナーのジョブマーケットは厳しく、一つの募集に最低でも100以上は応募者が集まります。
私は主にWeb / UI / Visualデザイナーの、インターン / Junior / Intermediateレベルに絞って応募しました。全然スキルが見合っていなくてもSeniorレベルに応募する方もいるらしいのですが、応募する際に志望動機などを記入する会社も多くて、可能性が低いものに時間をかけるよりも、可能性が高いものに時間を使いたいと思ったので明らかに自分のスキルと見合っていないものは応募していないです。
結果、応募したのは21件、面接の連絡を1件いただきました。志望動機を考えている間に募集終了したり、検討して結局応募しなかったのも数件ありました。応募数が少なく見えるのですが、募集内容によってレジュメ・カバーレターの内容を少し変えたり、志望動機などを考えていたら思ってたよりも時間かかりました。(そりゃそう)
ちなみに、座学の期間にもApplyしてみたのですが(上記の21件のうち6件)、その時はポートフォリオの内容が完成していなかったので、デザインの詳細載せずにビジュアルだけ載せていたBehanceを添付していました。当たり前に反応はなかったです。(そりゃそう)ポートフォリオしっかりしてないのに、気持ちだけ先行して応募しても時間の無駄です。
面接準備!
1件面接の連絡をいただいたのは今働いている会社(BtoB向けSaaS、従業員数60人ほど)で、UI&Graphic Intern(有給)、8ヶ月、週40時間の条件でした。
面接はインターンなので2回しかなかったのですが、2次面接の内容がヘビーでした。
1次面接:デザインチームマネージャーからプロダクトの概要・仕事内容の説明、私から自己紹介・質問(カジュアル面談みたいな感じ)
2次面接:プロダクトデザイナー2人と、80分の2部制(うち10分休憩挟む)でポートフォリオレビュー・カルチャーフィット面接
1次面接の後、メールで2次面接の内容を知らせてくれて、プレゼンしたい作品2つをポートフォリオサイトよりもブレイクダウンして分かりやすくプレゼン資料に落とし込みました。(Figmaでアニメーションも入れたりした)
1次から2次までの期間は1週間ほどあったのですが、フリーランスの仕事とカフェバイトもあったので、3日間くらいで詰め詰めでプレゼン資料の作成とメンターに練習に付き合ってもらってフィードバックを貰いました。
ちなみにプレゼンする作品は1つでいいと言われていたのですが、実案件が日本語のものしかなかったのでそれだと微妙だと思って、+でクラスで制作した英語のものを2つ用意しました。英語での実案件が1つあればベストだと思います。
2次面接本番
ポートフォリオレビューが一番大切だと思ってここに時間を割いたのもあり、自分の中でも満足高く終えられました。各作品を説明した後は、いくつかデザインプロセスなどについて質問をもらいました。
2部のカルチャーフィット面接は正直あまり準備できていなかったのですが、Youtubeや記事にまとめられている質問例の答えを答えられるように多少考えてました。ですが本番、想定していた質問が何も聞かれず、めちゃくちゃテンパってました。笑
うろ覚えですが、「既成概念にとらわれず新しいアイデアを生み出した経験あるか」、「チームメンバーと意見の違いがあった時にどういう対応をしたか」など「こういう状況のとき、どう行動した?」みたいな質問が何個かあった覚えがあります。
一つ一つ何て答えたか具体的に覚えてはないですが、いろんな他のチームと関わるroleなので、何らかの質問の答えで「前職でイベント会社やホテルなど色んなステークホルダーたちと円滑にコミュニケーションを行った経験」や、「HTML/CSS/少しJSの知識があるからコーダーと協力した時に効率的よくやり取りできた経験」など話した記憶はあります。
あと、面接の後に面接官が見返せるようにプレゼン資料のURLをありがとうメールと一緒に送りました。
面接結果、そして後日談
カルチャーフィット面接をロジカルに答えられた自信がなさすぎて、落ちたけど良い経験だったとポジティブに考えて過ごしていたのですが、1週間後にマネージャーから電話が来てオファーを貰えました🥳 5月末にオファーを貰い、7月頭に働きはじめました。
入社して少し経った後に、面接官の一人だったプロダクトデザイナーに少し聞いてみたら
・少なくとも100人以上の応募はあった
・1次面接に呼ばれた理由:ポートフォリオでデザインプロセスをしっかりまとめていたのが良かった。他の人はアウトプットだけ載せてイマイチどういう考えがあってデザインをしたか分からない人が多かった
と言ってました。
UI/UXの募集だとリサーチなども入るので必然的にデザインプロセスをまとめるのが普通だと思うのですが、UI&GraphicのポジションなのでUI/UXよりも意識している人が少ないのかも、と思いました。
また、会社のすべての資料が全員見れる場所に格納されているのですが、たまたま2次面接の時のメモを発見してチラッと見ました。笑
2次まで進んだのは3名だったらしく、デザインスキルのスコアの欄が3点満点であったのですが、私が2.5で他の2人は1点代でした。なので、デザインスキルもある程度評価していただいたのだと思います。
カナダでの就活を経て
未経験から渡航、コネなしで日本語のアドバンテージが皆無な完全英語環境で、オファーをいただけたことが自分の大きな自信になりました。運もあると思いますが、自分ができる限りの準備をして、機会がタイミング良く合わさったのだと思います。
ちなみに他のチームのインターンはみんなUBCやSFU(BC州でトップ1、2の大学)で、一人だけプライベートカレッジ&非ネイティブなので、「なぜ私が選ばれたんだろう」と劣等感みたいなのは入社当初感じましたが、裏を返せばとても良い環境に恵まれました。
そして、今は8ヶ月のインターンを経てマネージャーからフルタイム(いわゆる正社員)へのオファーをいただき、フルタイムのUI&Visual デザイナーとして働いてます。
100件以上応募してる人も多い中、20件ほどで見つかったのはかなり運が良かったと思います。UIデザインクラスからUIデザイナーとして就職できたのは10人中わたしだけで、あと1人は元々台湾でグラフィックデザイナーとして働いていた子が中国系の会社でグラフィックデザイナーとしての仕事をゲットしていました。他のクラスメイトは帰国したり、飲食系の仕事をしています。「デザイナーとして現地企業で就職する」を留学のゴールとする場合は、英語スキルとデザイン経験がないとかなり厳しいのが現実です。
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