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電車の中で不良高校生の前に座ったわたしの寒い朝の暖かい話

朝9時前の電車
ピークは過ぎてそれほど混んではいない

席に座って本を読んでいると
前の座席に
ふらふらと、30代くらいのならず者風の男性が乗ってきた
先に座っていたやんちゃそうなパーマ頭の高校生と
並んで座る図は 割と次の展開を期待するような危険な匂いがしていた

文庫本超しに
気になって気になって
本をめくるふりして観察していた


めくるふりして観察

すると
ならず者風の男性がコロコロコロとポケットから小銭を落とした

落ちた先はふたりの座席の下の行方知れず
次の展開はおそらく
なにも無かったかのように小銭を拾うことなく時がすぎると予想された

しかし次の瞬間
パーマ頭の高校生が電車の床に 四つん這い になって
男性のコインを拾ってあげたのだ

ならず者の男性は
「ありがとう」と言うと拾ってくれた100円玉を高校生に
そのまま返し

「ジュースでも飲んで」

と言ってさしあげた



一部始終をひとり見届けたわたしは
もしこの不良風高校生が学校で先生に
「お前はいつも生活態度がなっとらん!」などと
理不尽に怒られようものなら

かばってやりたい

と、
怒られているところを想像しながら
金八先生のように思ったのだ



寒い朝にちょっとほっこり
暖まった話・・・

寒い朝のニットみたいな話


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