『温室植物園』
父と2人で、こっそりデートする植物園に、
友人を誘って、初めて3人で行った。
父は植物博士のように詳しい人だから
温かな室内で、亜熱帯や砂漠に咲く花や
木の名前、その特徴などをガイドしてくれる。
好奇心旺盛な友人は、それをとても興味深く
聞いたり質問しながら楽しんでくれている。
途中で、酷い和名のついた植物の話になった。
『ママコノシリヌグイ』(継子の尻拭い)
この植物にどんな恨みがあったんだろうね?
とあれこれ想像しながら話すのが
まるで落語のようでおかしくて、
3人で大いに笑いあった。
父と友人がミトコンドリアや人間の体内
について、話しが盛り上がっているのを
横で聞いている時間が、愛おしく幸せな
時間だった。
あの日のことを思い出すと、
いつも楽しい気持ちになれる。
こんな日をこれからも少しずつでも
いいから、積み重ねていけたら、
なんて幸せなことだろう。
それはとても難しいことなんだけれど。
心も体も温かくなる、
とても寒い日の
小さな温室植物園の
小さな想い出。
サポートしていただけたら生きる希望になります。