シンセについて聞いてみよう その3~アナログ・FMシンセ編~
シンセって何だろう?
という、本当に些細な疑問を佐々木さんに聞いてしまった南さんは、
あまりに深い沼がそこにあるのだと気づき始めていきます。
佐々木:さてさて、今日はアナログシンセから、デジタル初期のFMシンセまでさらっと見ていきますか。
南:え、あ、はい。そうですね。。。
佐々木:前回南さんはさくっと寝ましたけども、そんなことは全く気にしていないので大丈夫ですよ!
南:はあぁ、、(何がだいじょうぶなのか。)
佐々木:では、まずアナログシンセサイザーの構成するパーツとして、5つ上げたの覚えていますか?
南:えーと、
オシレータ、フィルター、アンプ、エンヴェローブ、LFO
佐々木:おぉよく覚えていた!
南:いや、見た。
佐々木:ぬ。 では今日はその中のオシレータという物を紹介します。
南:オシレータ、、、
佐々木:このオシレータというのはシンセサイザーの心臓部のようなもので、
音を作り出している場所です。
ちょっと話が脱線しますが、まず音というのは波ですね。そしてその波が空気を震わせて音を出しています。その波の形によって音は変わります。
南:ほうほう、なんか知っているような。
佐々木:その波にもいろんな形がありまして、ギザギザしてたり、カクカクしてたり、ぐちゃぐちゃだったりしていて、そこからできた音を人間は聴いて音色というものを感じます。バイオリンはこんな音とか、トランペットはこんな音とか、そうやって人間は音を聴き分けて認識しています。
南:ということはバイオリンの波はこれ、トランペットの波はこれ、みたいに なっているということですか?
佐々木:はいはい、そういうことですね。人間の声も人それぞれの特有の波があります。その特有の波の違いを聴き分けられるから人は、声だけでその人が誰か分かったりもします。これを声紋と言ったりもします。よく犯罪捜査とかで使われたりするやつ。
南:今日も殺人事件の匂い。
佐々木:うん、でもこれ赤ちゃんでもできます。
南:へぇ〜!
佐々木:じゃないとどこにお母さんがいるか分からなくなったりするので。
南:あぁ、なるほど!
佐々木:ということで人間の耳はものすごい繊細な音の波の違いを聴き分けられるくらい精度が高いということですね。
ちょっと脱線しましたが、、この波を波形と言いまして、
初期のシンセサイザーには簡単な波形が出力できるオシレータが三個ついていました。この三つが、三角波、ノコギリ波、矩形波という物です。
南:おぉ波形が出てきました。
佐々木:音を聞いてみますか。
ブーとか、チーしか言わないですね。
南:言わないですねぇ、、、
佐々木:しかし、この三つのオシレータの組み合わせで、この世に存在するあらゆる音が作れますよ!
というのが初期のシンセサイザーだったわけですね。
南:えぇ本当ですか。。。
佐々木:ん〜ちょっと、騙しているかもしれない笑
南:えぇ!!ちょっと信じようとしたのに!!
佐々木:でも昔の人は、このシンセの音を聴いて、
おぉぉピアノの音だ!とか、バイオリンの音だ!、、、とか思ったかもしれないです。
南:えぇ、、、本当なのか、、、
佐々木:まぁ今聴いたらやっぱりビーとかボーとかしか言ってないですよね。
でもこれ画期的だったんですよ。電気をそのまま波に変換して音にして、音色を作るということが、それまでなかったので、これは凄いぞ!となったのだろうなと思います。それまでは楽器と言えば、ピアノとか、ギター、とかそういうものシンプルな原始的なものしかなかったわけですから。
南:なるほどなぁ〜確かに確かに。
佐々木:ということでアナログシンセというのはこれらシンプルな波形を出力できるアナログのオシレータが搭載されたものを一般的に指します。
南:アナログのオシレータ、、
佐々木:アナログって何?というのはまたいつかどこかで話すとして。。
そしてこのアナログのオシレータが80年代デジタルに置き換わります。
それがそれが最初期のデジタルシンセサイザー!!
FMシンセサイザーですっ!!!!!!
南:え、何で今テンション上がったんですか、、!!??
佐々木:当時の人達が、FMシンセに出会った時の事を再現してみようかな、、と。
南:え、そんなに???笑
佐々木:えー多分それはもう大騒ぎだったんだろうと笑
デジタルサイコー!祭りだ祭りだ、、、、みたいな。
南:はぁ、、、笑
佐々木:ということで、この初期のFMシンセサイザーというのは、サイン波という波を出力できるデジタルなオシレータを8個とか搭載していました。
サイン波というのはこの自然界には存在しない、一番シンプルな波形です。音はこんな感じ。
南:あ、ほんとうにポーとしか言わない。好きな音。
佐々木:そう、みんな何故かこのポーが好き笑
このポーは倍音を含まない純粋な音なのですが、、、
南:出たな倍音!!
佐々木:倍音についてはまた違う機会に説明しなくちゃいけないのですが
とりあえずこういう音が出るオシレータを8個搭載し、FM理論という怪しい理論を使い、様々な方法で調合することで、この世の全ての音を再現できる!という事になったのですね。
南:えぇぇ、、、まさか、、、
佐々木:ん〜どうなんでしょうかねぇ。。。笑
でもアナログのシンセサイザーと比べて、明らかにたくさんの音の波を作り出せる事になっていきます。実際40年くらい経過したFMシンセサイザーにはいまだに、まだまだ可能性が隠されていまして、新製品も開発されたりしてます。
それくらい魅力的な音だったわけです。
南:ふむふむ、、、どんな音の違いがあったんですか?
佐々木:ちょっと聞いてみますか。
アナログシンセサイザーとくらべて、キラーンみたいな音が出てきましたよね。
こういう音アナログシンセサイザーではなかなか作れないんですよね。
83年に、最初期のFMシンセのDX7というものがYAMAHAから発売されるのですが、80年代DX7が使われていない音楽はないんじゃないかというくらい、本当によく使われていました。
なんか僕ら的に懐かしい音ですよね。
南:あぁ確かに子供の時聞いた気がするなぁ〜
佐々木:これがデジタルシンセのご先祖です。
そしてこの時代から世界のあらゆるものがデジタル化されていきます。デジタルというのはすべての物を数字に置き換えて、データ化していくのですが、なんでもデータにしてしてまおうという流れが世界中で起きていきます。
そして同じタイミングで音楽の世界にも大きな変化が起きます。それがMIDI規格の登場です!
南:みでぃ?
佐々木:そうですそうです。これがものすごい衝撃だった。
南:はぁ、、どのような形で、、、、
佐々木:僕らANMYが今現在作っている音楽も基本的にはほとんどMIDIデータでできています。
南:はい〜何言っているか分からなくなってきたぞ〜
佐々木:楽譜ってありますよね?
南:はい、基本的に読みたくないですが。
佐々木:同じく。。。でも僕は楽譜は嫌いですが、MIDIデータは好きです!
南:うわぁ、、、
佐々木:いや、、、うん笑
MIDIデータというのは簡単に言えば、楽譜の拡張版のようなものです。
音楽をデータ化し始めるのが、西洋では15,6世紀だったのですが、そもそも音楽というのは、音階やリズムを数字で表すのが、割と簡単にできてしまうものなんですよね。もちろんすべては置き換えられないのですが、特に西洋音楽ではどんどん数値化、つまりデータ化がおきました。その集大成が西洋の音楽の楽譜化です。
南:じゃそれまでは楽譜はなかったのですか?
佐々木:はい。簡単に表したようなものはありましたが、統一規格がなかったので、専門の知識が必要でしたし、ある程度その音楽を知っていないと理解できなかったと思われます。
それが統一規格の楽譜の登場で、全く知らない音楽をその楽譜を読む事で、演奏できるようになります。これが西洋音楽がここまで普及した理由とも言えます。
南:ほーー!なるほどですね。
佐々木:その楽譜は何世紀もの間、基本的な形は変えず、もはや言語記号にように扱われていきます。そして今も当たり前に存在しているという、衝撃的な発明だったわけすが、それをMIDI規格はさらに拡張していきます。
具体的にいうと、楽譜では音の高さ、リズムは表記できましたが、音の長さ、音の強さまでは、表記しきれなかった。ですが、MIDIではそれをやってのけます。すべての音階、長さ、強弱を128個の数字で表現できるようになりました。そしてデジタル化されたシンセサイザーでももちろんMIDIが使われており、アナログシンセではデジタル化できなかった部分も、デジタル化してしまいます。それまで統一規格がなかったシンセサイザーがとうとう統一規格の中で開発されていくことで、より柔軟性が高まります。つまりデジタルシンセサイザーの普及とMIDI規格の登場で音楽をデジタルだけで表現できるようになってしまったわけです。
南:えーと、んーと、なんでしたっけ笑
佐々木:あ、えーと、要するに、、、、汗
音楽の自動再生というものが現実化していきます!(急)
南:おぉぉ自動再生、、、ちょっと昔の未来感がありますね。
佐々木:そうですねーつまりMIDIは音楽全体をデジタル化し表現できる、新しい言語として普及していくんですね。そして音楽がどんどんデジタル化していき、新しい音楽が作られていきます。つまりMIDIは音楽の世界をかえてしまうほど画期的だったと言えます。
南:そんなに凄かったんですね〜、、、MIDI。。。。
佐々木;ちなみに僕、恥ずかしながらMIDI検定3級というものを持っています。
南:検定!!そんなのあるの!?
佐々木:まぁ誰でも取れるんですけどね笑
ということでデジタルシンセサイザーとMIDI規格の登場で音楽全体がどんどんアップグレードしていきます。それは今もまだまだ続いていて、すべてをデジタル化していきたいという、人々の欲望の中に今もいるわけです。
南:、、、、、、。
スベテヲデジタルカセヨ、、、。
佐々木:ハイ、スベテヲデジタルカシマス、、、。
南:スベテヲショウキョセヨ、、、。
佐々木:ハイ、ショウキョシマス、、、
ということで、デジタル化により、目がカクカクしてきた南さんは全てを消去するという最終手段をとり、佐々木さんの熱さを今日も回避するのでした。
続く
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