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『デザイン思考の教科書』読書会レポ[ANKR DESIGN Book Club]

アンカーデザインの武田です。

今年の4月から、新卒のクリエイティブテクノロジストとして入社しました。

デザインについてはまだまだ勉強中で、実務で活用する経験に乏しい私ではありますが、「デザイン思考」についてまとめて紹介させていただきます。

今回Book Clubレポートとして紹介する書籍はダイヤモンド社から出版されている『ハーバード・ビジネス・レビュー デザインシンキング論文ベスト10 デザイン思考の教科書』です。


「デザイン思考」は米国のシリコンバレーではアップルをはじめとした多くの企業の、製品やサービスの開発に多大な影響を与えています。その企業の経営者や従業員には、デザイン思考の思考法・行動様式が自然なものとして浸透しているそうです。近年、日本でも「デザイン思考」という言葉を見聞きする機会が多くなっているように思います。

この記事でデザイン思考を初めて知った!という方にこの本はおすすめです。デザイン思考を活用した多くの事例が本書で紹介されており、デザイン思考の外観をつかむことが出来ます。

また、デザインを日々の業務で活用されている方でも、本書について話し合う場があることを前提としますが、事例を通してデザイン思考に対する認識共有の機会を改めて設けることができます。新たな発見、より理解を深めるきっかけを与えてくれる書籍となっています。

概要

本書の紹介に入る前にハーバード・ビジネス・レビューについて紹介します。『Harvard Business Review』(HBR)とは1922年に、ハーバード・ビジネス・スクールの教育理念に基づき創刊されたマネジメント誌です。リーダ―シップやイノベーションなどビジネスにおける主要分野について、経営学、芸術などの様々な分野の論客の寄稿やインタビューを掲載しています。

本書は、「ハーバード・ビジネス・レビュー誌において読むべき10論文」シリーズの1つです。「デザイン思考」を学ぶうえでデザイン思考に関連したIDEO創設者のティム・ブラウンや主要の経営メンバーであるトム・ケリーらの論文を(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューにて)編集して掲載しています。本書はデザイン思考を中心のテーマに据えていますが、これ以外にも、戦略、マーケティングなど様々な分野の論文についてまとめられている書籍が同じシリーズとして刊行されています。本書は、デザイン思考がどのようなものであるか、その方法や課題、導入の推進について各章の論文を通して紹介しており、入門から実践まで学ぶことが可能な本となっています。

デザイン思考について

デザイン思考は、イノベーションが求められていた時代に天才と呼ばれるような人に頼ることなく、人々が生活の中で求めていること・必要に迫られていることを理解し、イノベーションを意図的に起こすためのツールとして生まれました。

近年では、DXやAIなどのテクノロジーの発展に伴う私たちの行動様式の変化、そしてニーズが多様化するなど、時代の変化がより激しくなっています。そのような現代において物事の本質をとらえ、課題を解決する手法として、「デザイン思考」に対する注目が集まっているのです。デザイン思考の定義は人によってさまざまなようですが、本書では人々のニーズを観察し課題の発見とその課題の解決のアプローチをすることや、そのプロセス全体を指し示したりしています。

たとえば、本書の、5章(5本目の論文)「リーダーはデザイン思考をどう活かすべきか」では、デザイン思考を下記のように定義しています。

一口に「デザイン思考」と言ってもその実態はさまざまだが、一般に人間中心の製品やサービス、ソリューション、体験を作り出すためのプロセスや方法、ツールを指す。

もう少し、具体的な説明をしましょう。顧客の立場に寄り添うことで顧客の隠れたニーズを引き出し、課題を解決するためのアイデア出しをします。出されたアイデアからプロトタイプを作成し、顧客に何度も試してもらいながら新しいサービスや製品を生みだすことで、課題解決を行うものがデザイン思考になるという認識です。

 私は読了後、「デザイン思考」についてはユーザーの課題の発見から課題解決に至るまでの姿勢のことであると理解しました。そのためデザイン思考の知識を獲得し、理解したとしても、デザイン思考を実践で活かすことができなければ本当に理解したとは言えないだろうと思います。理解するためには小さいことからとにかくはじめてみて、実際に時間をかけてデザイン思考を実践し、経験する必要がありそうです。

Book Clubの参加メンバーからは、デザイン思考をどのように学び、身につけていくかという話題のなかで、さまざまな意見をシェアしてくれました。

・知識半分、実践半分
・それぞれの認識 社内でのデザイン思考の認識を共有し、擦り合わせておくことで、よりデザイン思考の恩恵を受けることができる。
・実例紹介では詳細までは伝わらない。身につけるのにはワークショップが効果的かもしれない
・ロードマップ的なものでも作ることができれば組織の中だけでもスタンスを揃えることができる

上記はかなり抜粋ではありますが、普段デザインに関わるメンバーも日々実践を通して学び、個人としての「デザイン思考」を身につけてきたのだとわかりました。

印象に残った部分

デザイン思考の具体的な手法・ステップについての紹介は本書に任せます。ここでは私が印象に残った「プロトタイプの作成」について紹介させていただきます。

デザイン思考では1つの解決策に絞りこんだりするのではなく、選択肢の幅を広げていく探索的な手法を取ります。そのプロセスの1つにプロトタイプの作成があります。このプロセスでは、失敗の経験が繰り返し求められ、一見悪い結果を積み重ねることになります。「失敗」について程度の差こそあれ、してはいけないもの、よくないものというイメージを持っている人が多いでしょう。それでも、プロトタイプの作成とテストを繰り返し、失敗を積み重ねることによって、当初は思いもよらなかった大きな成功をもたらしてくれる可能性が高まります。社会や企業の中で失敗に対しての許容度が高くなり失敗への捉え方が変化すれば、結果としてデザイン思考が浸透することに繋がると思います。

おわりに

今回の記事では、簡単にデザイン思考とその背景、失敗の捉え方について紹介させていただきました。デザイン思考の各プロセスでは、あたりまえじゃないかと思われるステップもあるかもしれません。その当たり前のことを実践するには多くの時間と努力が必要になります。デザイン思考の必要性を理解し、少しずつ、日々の業務にできるところから取り入れていただければと思います。


ANKR DESIGNではこのように社内の読書会の様子をnoteでお送りしています。この取り組み全体については下記の記事に詳しく書いています。


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