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マットレス

新居が決まった。それに伴って、新しいマットレスを購入した。正確には、購入してもらった。高級なやつ。

結婚する前、私は実家暮らし、彼は一人暮らしだった。結婚してから一ヶ月後、私は彼の1Kの部屋に転がり込んだ。本当は最初から新居で二人で暮らしたかったが、流行病のせいで物件探しをすることが難しかった。だからとりあえず一緒に暮らして、その後部屋を探すという段取りを選んだ。

いい年した新婚のアラサーの男女が、8畳ほどの部屋で二人で暮らす生活。初めは同じシングルベッドでギュウギュウと寝ていたが、じきに腰の限界が来て、今では彼が床に布団を敷き、私はベッドで寝ている。唯一ある机はこたつ机で、面積の半分はパソコンと本に占められている。残りの半分のスペースで食事をするのだが、二人分の食器を置くのは厳しい。平日は私が早めに夕食を終わらせ、帰宅した彼は一人で食べることが習慣になっている。今の部屋に持ち込んだ私の荷物は最小限で、ユニクロのズボン1着、ワンピース2着、お気に入りのバンドのTシャツ4着、スカート2着、アロハシャツ1着、社会性のあるトップス3着を着回している。最近涼しくなってきて、このままだとまじで着る服が無くなる。

食卓には美しい器に盛られた食事が並び、玄関先の一輪挿しに花が咲き、大きな窓からはレースカーテンを揺らすそよ風が吹いてくる、みたいな憧れの暮らしぶりとは程遠い。いくら仲良し新婚夫婦といえど、彼が仕事でくたくたなときや、こちらがPMSでぐじゃぐじゃなときなんかは、ストレスが溜まる。つまり、今だ。

今目の前には、今朝届いたマットレスの箱がある。1つ4万、2つで8万。寝付きの悪い彼が奮発した。

その箱のすぐ横のこたつ机の上に目をやると、私が昼に食べた後の食器が残っている。そういやこのこたつ、去年のクリスマスプレゼントに彼にリクエストされて買ったやつだ。

彼が買ってくれた8万のマットレスと、私が散らかしたままの部屋。

ちゃんとしないとな。引っ越しは来週末。分かっちゃいたけど、今年は変化が多すぎる。だりー。疲れるわー。まあそれはそれとして幸せー。

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