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ナスの煮浸しの昔話

「今日のご飯どうする?」
と聞くと、
「ナスの煮浸し」
と返ってくるほど、ウチでは定番のメニュー。

わたしの得意料理、
ナスの煮浸し。

このレシピを作るたびに、
どうしても思い出してしまう話。

それは、
以前お付き合いをしていた彼氏に、
ナスの煮浸しを作った日のこと。

わたしの母親が、よく作ってくれたメニューにナスの味噌煮があるが、それはもう甘く、コッテリとした味付けがとんでもなく好きだった。
もちろん、ナスに限ったことではなく、ひじきや芋の煮付け、肉じゃがなども全て甘めの味付け。
焼き魚はあまり好きではなかったけれど、母が作る魚の煮付けはすべて大好きだった。

その印象があるからか、わたしの料理も、だし、醤油、みりん、たっぷりの砂糖で作った甘めの味付けが基本。
コッテリ甘さのある料理は、日々の疲れを癒してくれるし、食べるたび幸せな気持ちになる。

そんな気持ちになって欲しい!
、、などという大それた理由もなかったのだけれど、
いつもと変わらず甘いナスの煮浸しを作ったのだ。

自分が作ったものに、美味しいという自負も相まってか、ついつい口に入れた瞬間に
「どう?美味しい?」
と聞いてしまうワタシではあるが、
たいていは
「うん」
であるとか
「美味しいよ」
であるとか、お褒めの言葉を期待する毎日ではあった。
だが、その日の反応はまるで違っていて、どうにもこのエピソードが頭から離れないのである。

この日もいつもと同じように、味の感想を求めたはずだ。
「どうかな?」
などどうでもないように、でも美味しいだろうなという、完全な自負はあっただろう。

こう見えて、ワタシは料理が得意なのである。

変なところに自慢話を放り込んでしまったが、いま重要なのは、その回答である。

「うーん。初めて食べたな」

歳下の彼氏であったからか、もしかしてこの人、ナスの煮浸しも食べたことがないほどの世間知らず(かわいいかわいいかわいい)なのではないか、、!

と、何故か心が躍ってしまったが、
「食べたことないの?」
と聞くと、
「いや」
と言葉を濁す。

顎で先を促すと
「俺のお母さんは麺つゆでナスの煮浸しを作るから」
とのこと。

こ、これは、、?
まだ半分に期待を持っていたワタシだが、
徐々にその雰囲気がつたわり、コレは美味しくないといっているのだと理解をする。

「あまり口に合わなかった?」
と、残念に思うと、その追撃。
「いや、思っていた料理と違ったから」
という答え。

麺つゆで作ったナスの煮浸ししか、美味しくないということなのか?
はたまた、これが母の味だから真似なければいけないのか、、?

などと思考を逡巡させた結果、
美味しいと思ってもらうのが一番なので、その彼にはクックパッドで麺つゆで作るナスの煮浸しを振る舞うことと決めていた。

しかし、人の好みとは変わらないもので、甘い味付けのナスがやはり最高である。

時は経ち、1人の期間もナスの煮浸しを作り(うまい!)何度かの別れを経て現在。

同棲している彼に煮浸しを作ろうと思ったら、みりんを切らしてしまっていた。
ふと、冷蔵庫を開けると、先日食べたお蕎麦に使った麺つゆがコチラをみているではないか。
(ぜんぜんみてはいない)
しかし、確かに主張していた。

久しぶりに麺つゆでナスの煮浸しを作ってみる。
「どうどう?」
この辺りもなにも変わらないクダリ。

「うん。すごく美味しいよ」

というわけで、
男性にはきっと、麺つゆで作るナスの煮浸しが人気(ワタシ調べ)のようなので、女性諸君にはぜひ、覚えていただきたいレシピである。

甘い味付けのナスの煮浸しは、1人の時にガッツリと食べてやろうとは思っている。

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