ほいくえんのシンデレラ

あるところに親子仲良く暮らす可愛い貴族の家族がおりました。
ある日、お母さん(役)が飽きて違う遊びに行ってしまいました。残された父(役)と娘(役)は不満に思いましたが、2人で続けておりました。

しばらく経ったあるとき、同じく伴侶と別れ姉妹を抱える継母(役)の女の子が
「いっしょに すーみましょー」
と言ってきました。
父と娘は「いーいーよー」と答えてから家族になりました。

「ねぇねぇ おなまえ なぁに?」
「ぷりんせす なににする?」
お互いに聞きました。
「わたし べる がいい」
「わたし ありえる!」
「じゃあ おーろら でいいよー」
団子虫に夢中で話を聞いていなかった娘は適当に答えたのですが、滑舌も悪かったので回りには「シンデレラ」と聞こえました。
まさかの継母含め姉妹もプリンセスのカオスファミリーができました。
そんな経緯で娘はシンデレラという名前になりました。
父役の子はトイレに行った後、別の遊びに行ってしまい脱落です。

「しんでれら、ごはんつくろう!」
継母が声をかけますがシンデレラはメルちゃんのお洋服を着替えさせています。

「あー!しんでれら、おかあさんの おてつだい しないと いけないんだよ!せんせい いってたよ!」
「そうだよー。おてつだいしようねって せんせえいってた」
「だって、めるちゃんで あそびたいんだもん!」
「あとで また あそぼうよ」
「けんかしないんだよ。なかよくだよ」
「でも あそびたいんだもん!」
「おてつだい ひとっつだけ やろうね」

そんなこんなでごはんが終わると…

「おかたづけ しようね」
「わたし おはし!」
姉が自分の担当を真っ先に決めました。
「じゃあわたし おさら!」
続いて姉も決めました。
「わたし かっぷ やだぁ」
シンデレラはふて腐れました。

「おかたづけ ちゃんとしないと まま あらってくれないよ?」
「そうだよ!いつもパパおこられてる」
「でも かっぷ やだ。もち、もてに、できないもん!(訳:うまく持てないから嫌)」

と、続いていきます。
なんだかんだ続けていって、王子さまのお城からクレヨンで書かれたパーティの招待状が届きました。文字は一部判読不能です。

継母と姉たちは王子さまやパーティという言葉に憧れているので行きたくてたまりません。
「しんでれら!どれすつくって!できなかったら ままにつくってもらおうよ!」
「うん!ありえるのも つくってほしい! きらきらの ついてるのがいい」
「べるは ひらひらの ついててー、このまえままと にしまつやでみたやつがいい」
「おーろらのもほしいー ぴんくのおりぼんのやつ!ままじょうずなんだー」
「しんでれらは ぱーていーいけないから いらないんだよ」
「おるすばん するんだよね?おねえさんだから!(注:シンデレラは1番末のはずを勘違い)」
などと連れていってはくれない様子。

「わたしも いきたい!」
シンデレラも半泣きで訴えましたが、
「どれすもってないし、おてつだい しなかったでしょ!」
「だめなんだもん!」
と継母達に押し切られ、たくさんたくさん泣きました。

10分ほど泣いてふて腐れたでしょうか。
その頃に魔法使い(別の遊びをしていた子)がシンデレラに話しかけます。
「ねぇねぇ、いっしょにいきたいの?」

「ひっく、ひっく。うん」
シンデレラは泣きながら答えました。

「じゃあさあ、いっしょにいったらっていってあげる!」
魔法使いは継母達のところに行きました。

「いじわるしたら だめなんだよ。いじわるしたら ばいきんまんのおかおに なっちゃうよ?ぷりきゅあにも なれないよ?」
魔法使いは話しました。

「えーばいきんまん(になるの) やだぁ」
「ぷりきゅあ やさしいもんね」
「いじわるしたら だめなんだよって せんせえいってた」
継母達は心を改め、シンデレラにごめんねをしたら一緒にドレスを作り始めました。ダンボールや折り紙など廃材とのりやハサミ、クレヨンなどで各々に作ります。やっとできたら、ガムテープで貼って着ました。
ガラスの靴はティッシュの空き箱です。

そしてみんなでお城(他の子が大きなブロックで作った、色々不足した家の間取り図みたいなの)に向かいました。

お城のパーティは王子さま達だけでなくお姫様達もいて楽しく、トランプをしたりおままごとをしたり、知育おもちゃで遊んだりとあっという間に時間が過ぎました。

「あんこ組のよいこのみんなー!お給食の時間だからお片付けしようねー!」
時計の鐘が鳴り響きました。

シンデレラ達は急いで片付…家に戻ります。
が!シンデレラはいつの間にか脱いでいたガラスの靴(ティッシュの空き箱)を片付け忘れていました。

「ない!わたしの!がらすのくつ!わたしの ない…うぇぇえええー!!!」
他のおもちゃなどと紛れてしまったのか手元にガラスの靴が無いためシンデレラは泣き出してしまいました。

継母達も魔法使いもなだめますが簡単に見つかりません。
「みんなであとでさがそう」
と言ってしばらく経ってからでした。

「このくつ だーれの?」
嬉しそうな声が響きました。
王子さまは一緒に遊んで楽しかったシンデレラが落としたガラスの靴を持って探しています。

みんなそれに足を入れたがりますが、口が破けそうになるので回りから止められていました。

「あーっ!それ、わたしの!!」
シンデレラは見つけて、足を入れました。
早々に脱いでいたお陰であまり凹んだり破けたりしていないので小さなシンデレラの足にピッタリです。

「しんでれらちゃんの だったねぇ」
王子さまはニッコリ微笑みました。

「見つけてくれてありがとう!」
シンデレラは嬉しそうに笑います。

「しんでれらちゃん かわいいから これあげる」
王子さまは折り紙とセロテープで作った不格好な指輪を渡しました。

「わぁ!ありがとう!!」
シンデレラはお礼を言うと仲良く遊び始めました。そこにまた、継母と姉たちも混ざり、みんなで楽しく午後も遊びました。

めでたしめでたし。

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幼稚園に通う娘(4歳)が掃除&料理好きで平和主義なので、話してて思い付きました。
ここまでお読みいただきありがとうございます。ちょっとでもホッコリしてもらえたら嬉しいです。






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