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母ポテトサラダ。

「うちのおふくろの味って何だろう?」

もう絶対にこれ!という一品は浮かばないまでも、子どもの頃、母と一緒に料理を作った風景が浮かぶ。

「ポテトサラダ、ゆでたまご入ってたなぁ」

そう、ポテトサラダを作る時、じゃがいもと人参を一緒に蒸していた記憶がある。そしてゆでたまごも入れていた。

「他に何入れてたっけ?」

母に聞いてみることにした。

「昔作ったポテトサラダってさ、芋と人参一緒に蒸したよね」

「うん」

「一緒につぶした」

「!」

「ゆでたまごも入れたよね」

「うん、ゆでたまごもつぶした」

「!!」

そう、かすかな記憶を引っ張り出してみると、確かに人参は形を成していなかった気がする。

そしてハムか何か、他に入ってなかったっけ?

「あれば、パセリ」

パセリ!!!

入ってた〜!!!!

そう、実家を出て自分でポテトサラダを作るような場面では、母のそれを再現するでなく、ハムを入れたりコーンを入れてみたりと、無意識に市販のそれを手本にしていた。

人参やゆでたまごを入れる時には、包丁で切っていた。

全部潰して、味はシンプルに塩、こしょう、マヨネーズ。

食べてみると

ああ、これ

食べたことあるやつだ。

記憶は薄れても、舌は覚えてる。

うちの母の味。

母ポテトサラダ。

きゅうりが入っていないのは、私が食べれないから。

母の愛あるポテトサラダであった。

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