友情、愛情?

私は友情は絶対的なものだと信じていた。
疑いもせず、あの幸せな風景がずっと続くのだと、確信していた。
それが簡単に壊れるなんて、知らなかったんだ。


▼友情は簡単に破綻していく

私は昔、リーダーグループの中に居て先頭を立つ事も少なくはなかった。みんな仲が良いと信じていたし、疑うことなんて1つもないと、本当に思っていた。
でも…私が壊れかけ始めると同時に周囲の目も変わり始めた。私が異端な行動を起こすと、それに合わせて皆が引いていくのが分かった。
そして、いつの間にか私の周りに友人と呼べる人は居なくなった。でも私は気づきたくなかった。だから敢えて見て見ぬふりをして、自分は大丈夫だ、と自身を勇気づけて必死に過ごしていた。

そんな中、皆が色恋沙汰に現を抜かしはじめた。
教室の中では女子の黄色い声いっぱいになることもあった。

誰が好き?
あの人が好き?
どの人と付き合ってるの?

そんなしょうもない話題に私ははぐれないように必死にしがみついていこうとした。もし、ついていけなければ私は本当にあの場所に居られなくなる、と思ったから。
だから正直誰でも良かった。注目を浴びて私の事を見つけてもらえるのならどんな手段でもよかった。
だから、きっとあの時は恋愛感情なんてなかった。

「私?私は…A君が好き、だよ…」※A君は仮名です

A君とは、運動音痴でイケメンと呼べる顔面偏差値もあまり無くて、頭が良い事だけが取り柄の男の子だ。モテるような要素は無いに等しかった。でもだからこそだと思った。皆がイケメンを好き好んでキャーキャー騒いでいる中、私はその人を好きだと言えば、確実に見てもらえると思った。だから散々質問攻めにあった。

どんな所がいいの?とか…知らないよ。だってこれは恋じゃないもの。
どうして好きになったの?って…分からないよ。むしろ私が教えて欲しいくらいだよ。
でも、そっか。これでようやく私も皆に溶け込めるんだ。

なんて、ホッとしたのもつかの間、溶け込めるどころか皆とはむしろ離れていった。

当時は家での居場所が無い分、愛され欲が物凄かったんだろう。少しでも見てもらいたくて、「恋をしている自分」を演じ続け、出来るだけ目立ちながら行動し続けた。相手が少しでも離れようとすると意地でも引き止め、どうにかこうにかして現状維持を続けさせようとしていた。まさに異常だ。
徐々に私は浮いていった。元からの異常な行動もあり、さらに浮き出て異端者と見られた。

もう、どうにも出来なかった。きっと私は一人になる運命なのだと思い込む事しかできなかった。

こうして私は、自らを追い込み、友情を破壊した。全ては、私が撒いた種。それが自分に返ってきただけ、なんらおかしい事なんてない。
「おかしい事」に自分が気づいてしまえば、より一層狂い始めた。見たくもない、知りたくもなかった部分。もう、自分でもどうにも出来なかった。

もう、どうでもいいか。だって嫌われちゃってるんだもん。そうか、なら信用するのも、期待するのも、もう…やめよう。

さよなら、純粋だった自分。愛情も友情も全部、いらなくなっちゃった。

ぜんぶ、ばいばい。

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