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はじめまして。「アンカ」と映画『デカローグ』

はじめまして。

なんだか逃げ場、というか遊び場がほしくて、本名とはちがう形でなにか書いてみようかなと始めてみました。ふだんは趣味に毛が生えた感じで書いたり制作したりもしています。

杏果というのは10分くらいで考えた適当な名前ですが、由来は敬愛するクシシュトフ・キェシロフスキ監督の作品にやたら出てくる「アンカ」というポーランドの名前で、漢字はふだんあんまり女の子っぽくするのに抵抗があるもののそんな自分を変えたいなという願望もあって決めました。馴染むのか、そしてすぐに飽きないか不安もありますが、まあ本当にいやになったら変えればいいかという軽い気持ちでいこうと思います。

「キェシロフスキ」「アンカ」で検索すると、

神作『デカローグ』の第4話『ある父と娘に関する物語』と第7話『ある告白に関する物語』が出てくる。たしかもっと前の作品とかにも出てきたような気がするけれど、とりあえず今は割愛。

このふたつの話、デカローグの中でもかなり好きな方に入る二編。

『ある父と娘に関する物語』は

Taste of Cinema"より引用

父親の留守中、アンカは彼の机から“死後開封のこと”と記された封筒を見つける。好奇心を抑えることができず、封筒を開けてしまうアンカ。すると中には、亡き母が自分に宛てた、もうひとつの封筒が入っていた。
Movie Walkerより引用

アンカが異性として愛してしまった父親との関係を踏み越えるのかどうか、最後まで心臓バクバクさせられる一作です。ここ一年くらい観ていないけど、アンカが寝ているパパに水をかけたり、空港に見送るときの服装がとにかく可愛かったのが印象的。

"saturday night screening"より引用

近親相姦的な話ってどうしてもメロドラマっぽくなるというか。メロドラマはメロドラマで好きなんだけどね。でもここまで美しく、切なく、そしてまるで嫌悪感を抱かせないように描くのって一言でいうと作家性に拠るものだなーと思う。

でもどちらかというと『ある告白に関する物語』のほうが好き。

EASTMAN MUSEUM"より引用

高校生の時に娘のアンカを産んだマイカ。だが、世間体もあって彼女の母親であるエヴァの子供ということにしていた。7年後、マイカは実の母娘のように仲の良いエヴァとアンカに嫉妬。思わず、アンカを誘拐してしまう。
Movie Walkerより引用

物語は暗い団地の映像に少女の泣く声が不快に耳を刺激するシーンから始まる。

捻れた親子関係がマイカを蝕み、母親であることも娘であることも実の母親に奪い取られてしまう。そこから逃亡を図るんだけど、簡単に予測されてしまうだろうに娘の父親の元教師に助けを求めたり、実の娘が泣き止んでくれなくて母(実は祖母)を求めたり、最後の最後まで切ないんだよな〜。。最後、両親に捕まってアンカを置いて電車に乗って去っていくときのアンカがマイカを見つめる目がこれから先ふたりはどうなるんだろうと考えずにはいられない。マイカ役のアンナ・ポロニーがな、見た目だけで哀しくなるんだよな。。(良い意味で)

私が小4のときに両親が離婚して、母方の実家に戻ってきてから母親との折り合いが悪くなり、幼少時から大好きだった祖父母に私がべったりになったとき、母親は私を憎むような目で見ていた。なにかでもめたときも私はいつも祖父母の味方で、祖父母はいつも私の味方で、今から思えば必死に働いて育てているのに自分に懐かない私を、そして両親に娘を奪われたことを母が憎んでも仕方ないな〜とも思えるんだけど、当時は母兄妹VS祖父母と私!みたいに敵として見られることも、母に大事にしてもらえないと感じてしまうこともすごく苦しかったし、長年歩み寄ろうとも思うことができず大学生半ばまでは母のことが大嫌いだった。
形はちがうけれど、そのときの息苦しさとか居場所を求めて逃げ出したくなった気持ちをこの映画を観ると痛々しいほど思い出す。

はじめになに書こうか迷ってデカローグの紹介記事になってしまったな。
キェシロフスキは一番好きな監督で、ワルシャワにお墓詣りに行ったこともあります。(ドヤッ)
メイン観光地からは少し離れたポヴォンスキ墓地というところにあるのですが、キェシロフスキの超クールなお墓を始め墓地全体に美しい彫刻が大小様々あり、静謐で重厚な空気を感じることができます。人も少なく、ポーランドのどんより暗い空の下、ぼーっとなにかを考えるのにもおすすめです。ワルシャワに行かれる方はぜひ。

ボヴォンズキ墓地


自分の名前から離れられるのって楽しいかもしれない。

読みづらいところもあるかと思いますが、気長にざっくばらんにいろいろ書いてみようと思っているのでフォローよろしくお願いします!(:


杏果




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