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現代の着物職人に求められること!『作れる』だけの時代は終わった。『伝える力』が必須!

1年間に全国で40回以上の展示会を毎年しています。

毎年おおよそ3000人以上のお客様とお会いし私の自慢の作品を見て頂いてます。そんなことを10年くらい続けてきた中で感じること…それは…

見せるだけでは感動して頂けない

展示会の陳列はだいたい私がやります。作品コンセプトやその中でも見せたい作品を自分の納得いく形にしたいからです。

それが終わると今度は着物屋さんのスタッフに作品の説明会を行います。当然、スタッフの皆さんに私の作品の良さを感じてもらう事と私の代わりにお客様にそれを伝えてもらう為です。

こんな感じです。

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しかしここ数年、ここに変化が生まれて来ました。

それは着物屋さんのスタッフもお客様も感動しにくくなっているということです!

その理由は簡単で、もうあらゆるものがあるのでお客様も着物屋のスタッフも見慣れてしまっているんです。

ですから上の写真のように陳列しているだけでは感動は生まれません。しかし感動がなければお買上げして頂くことも、大切な時間をさいて来て頂いた意味もありません。

そこで求められるのは感動をして頂く為に必要な事を伝える力です。

では何を伝えなければいけないか?

それは次の4つだと思っています。


①創作に対する想いを伝える

これは作り手が伝えるべき最低限のことだと思います。そもそもこれがない作品に感動が生まれる訳もありません。

何を想いながら作るのか、何を目的として作るのかは人それぞれなのでそこに思想の違いは生まれて当然だと思います。

ちなみに私はとてもシンプルです。

着物をファッションとしてしか見てません。いかに綺麗になれて楽しめるかが全てです。

そこに伝統とか格式とかいったものは一切ありません。

当然、伝統や格式を重んじる人には感動を与えれませんが、これが中々たくさんの方に響きます。そういう時代なんです。


②技術的な事を伝える

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着物の染色には様々な技法がありますので自分の専門の技法をいろんなツールを使って伝えます。

例えば絞りや藍染などは実演をしたり、動画や画像で工房での作業風景を見せたり、やはり言葉だけではなく目に訴える形を取ることが多いです。

伝えるとい面ではこれが一番伝わりやすいです。だいたいのお客様はある程度の感動を引き起こしてくれます。


この①と②は従来ずっと行われてきた伝えるという分野でのド定番です!少し昔まではこれで感動が生まれお買上げもして頂けていたんですが

現代ではこれだけでは感動が生まれません!

①と②にプラスして次に伝える項目が必要になっています!


③コーディネートパターンを伝える

今一番必要なのはこれです!しかしこれが一番難しいんです!

当然ですがそのコーディネートがお客様にとって似合うもので気に入って頂くというのが最低条件ですがそれが1つのパターンではダメだということです!

TPOによって、季節によって、気分によってコーディネートは変わるのでそれを目に訴えないといけません。

意外にここが抜けている場合が多いんです!ここに力を入れないとお客様は振り向いてくれません。

庵聚のコーディネート例だと

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着物、帯は当然こだわりの作品ですが

帯締、帯揚、半衿、イヤーフック、帽子、草履、ブーツに至るまで庵聚らしい個性を大事にしたコーディネートです。

これにお客様は感動して頂いてます。特に意識しているのは今までの自分じゃ考えられないという言葉が出るコーディネートです。

好みに合わそうとすると今までどおりのコーディネートになってしまうのでそこに大きな感動は起こりません。

しかも、ただ黙々と着せればいいのではなく一つ一つコーディネートしていく際にその狙いや効果を伝えなければいけません。

出来上がってから感動!というのではなく一つ一つの感動を一緒に積み上げていく感じです。


④作品を持つことによっての未来を伝える

正直、私の着物は安くはありません。しかし大きな決心をして頂いて持って頂く以上そのお客様の未来を楽しくする事とサポートする責任があります。

楽しくするというのは当然『着る』ということなのでどんな年代でもどんな場所でも着やすいものであったり、コーディネートを提案しないといけません。

これは③のコーディネートにも繋がるんですが1枚の着物が持つ可能性を最大限に着姿として伝えます。

サポートは着物屋さんでできない事をサポートします。例えば私の作品を何回も着てもらって飽きたら柄を足してバージョンアップをするとか、もしその年代の時に色が気になれば色を変えるとか、着る場所の一つして工房に遊びに来てもらうとか。

職人ならではサポートをさせて頂いてます。

これは色無地に柄を足して欲しいという依頼です!

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色無地というシンプルな着物が一気に個性的な着物に変わりました!

普通ならタンスの中で眠りにつくものが新しいものに変わりタンスの外に出る回数が増える。着る方にとっても着物にとっても最高の形ですよね。


こういったことを伝える事でお客様は心を動かしてくれます。逆を言えばここまでしないと心を動かして頂けないということです。

それくらい着物は今、非日常であり必要ないものだと思います。

唯一残されたファッションとしての道を切り開き、その想いを発信し伝えていく為にこれからも様々なチャレンジをしていきます!


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