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大阪府・吹田市北千里【街の中の私、私の中の街】

この街には わたしの祖父母の家がある。

この駅を降り、少し歩くと、傾斜面に掘られた謎の溝の道がある。

幼い頃、危ないからという理由で、傾斜面の溝には、姉しか通ることが許されなかった。
いつも私は、傾斜が緩い溝のほうを歩いていた。

その溝を歩いたあとに、祖父母の家に着く。

一度だけ、人影のような、灯火のような、少女の霊を廊下で見たことがある。
遭遇した後、当時は、眠るのが怖かったが、この家や祖父母を守っている霊なんだろうなぁと今では思う。

家のすぐ近くに千里中央公園という大きな公園があって、朝早起きができたら、祖父と散歩していた。

街路樹の木や花を見て、これは〇〇だねぇ、綺麗だねぇとお話をするのがとても好きだった。

公園の最終地点は千里中央駅。

アンパンマンの大きなオブジェがあるゲームセンターがあって、ときどきアンパンマンのポップコーンを買ってもらえるのが嬉しかった。

いまは、もう 傾斜面の溝も、ゲームセンターも ない。
少女の霊にも、祖父にも会えない。


新開地ニューあそび場の創造
安住の地「ライトシティ」



日時:2024年2月9日(金) ~ 25日(日)
場所:新開地アートひろば

あたらしい街にやってきて思うこと。
見慣れない街灯、住宅の明かり。
どれもまだ自分の街じゃない。
いつしか私は住人を名乗り、自分が「街」の一部に変わる。
気が付けばその街が「自分自身」を作っている。

本企画のテーマは「街に馴染む」
安住の地劇団員が考えた関連企画や、訪れた人の手で変わっていく展示空間、そして新作の演劇作品を発表します。
リニューアルした新開地アートひろばで、
安住の地と一緒に、新しい街「ライトシティー」を考えてみませんか?

演劇公演『あかり。』

脚本:武田暢輝
演出:森脇康貴、武田暢輝
〈あらすじ〉
そこに街があった。私たちは街の中で、街の一部として生きていた。
その街に生まれた新生児・灯(あかり)の身体は光をまとっていた。
灯は身体が発光する以外は、どこにも異常はなかった。ただ、光り続けていた。
いつしか街のシンボルになった灯は、この街の一市民になることを夢見る。

詳細はこちら▶ ライトシティー特設ページ

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