秋のブナ森

乳頭温泉郷は晩秋

私がここでブナの森と温泉のガイドを始めて6年目になる。

5月の雪解け、6月のブナの芽吹き、7~8月の新緑、9月からぼちぼちと、10月になると一気に紅葉が進み、11月には落ち葉の茶色に美しい木肌が際立ってくる。そして、雪の舞う季節…。
雪は3m、多い時は4~5m。そんな中をしっかり防寒してスノーシューで歩くのも楽しい。(と言いつつ、めったに行かないけど)(笑)

乳頭温泉郷はその名前の通り、7つの温泉宿が作り出す「郷(さと)」だ。

歴史も深くメディアでも有名な「鶴の湯」さんの硫黄の湯の色からその名がつけられたと思う人は多いけれど、実際はこの温泉郷の北東側に位置する標高1478mの「乳頭山」からついた名である。

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(こちらは春先の乳頭山)↑↑↑

本当の名前は、国土地理院の地図では岩手側で呼ぶところの「烏帽子岳」なんだけど、秋田県側からみるとそれとわかる突起があって、本当に女性の乳房の形である。この季節、まだ積もらないまでも寒い朝に見るとそこだけが雪で白くなってたりして愛らしくて面白い(笑)。


昔はこの温泉郷も冬は閉じていたとのこと。50年ほど前に国民休暇村(現在は「国民」は付きません)ができてから、最奥の黒湯温泉を除き、徐々に各宿とも通年営業をするようになったそうだ。

暮れゆく秋の乳頭温泉郷をご案内していると、私は温泉の香りが一層つよく感じられる。
花や葉、木々の香りが絶えたせいか。

冬という「5か月間の死」に備えて、最後の力を放つのか。


紅葉も終わり、観光の人々のざわつきも少なく、各宿に宿泊する人たちもその静寂や情緒に存分に浸りながら、言葉少なに楽しんでいるように感じる。まるで、聖域の掟を乱してはいけないかのようだけど、肌を刺す冷たい空気と暖かいお湯に身を浸している時間は心のごちそうだ。

ブナの森を散策している人も、五感をとぎ澄ませながら歩いている。

(私のご案内も、今年は「左足首靱帯損傷」という形で(しかも別口でバイト中に(;_\))終わることになってしまって悔しい限り…。もっと晩秋のブナの森を歩きたかったなあ。。。ライネンハ キヲツケマス…)


さて、乳頭温泉郷の中で唯一 冬期休業となる「黒湯温泉」さんは来週から冬ごもり。明日の日帰り温泉営業が終わったら4月の中旬ころまで、長いお休みに入る。

黒湯下の湯源泉

温泉ガイドと名乗ってるくせに、あまり雪の時期の温泉は行ったことないかも。(「いつでも入れる」と思ってしまう地元民の悪いとこ)

今年は雪が遅そうだけど、スノーシューがてらどこかに入りに行こうかな。

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