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身体と時間:Anizine

大事なことは「身体と時間」であると、昨日友人と話した。

体験と、それに割く時間。二次的だけどそこに使うお金の問題もある。口だけでそう言っていても始まらないので、Anizineでは定期購読料の中から「旅に行きたい人」に旅行資金を援助してきた。これは元々が購読メンバーが出してくれたお金なので、俺のモノではなく、ただ使い道を決めているだけなんだけど。

若い頃には時間がたっぷりあるのにお金がないから旅に行けない。お金が自由になる頃には仕事が忙しくて行けない。よく聞く話だ。だから若者には資金の足しになればいいし、大人はそのために「時間を作ること」を意識して欲しい。時間とお金の両方がないと途方に暮れてしまうので、まずはお金の問題だけクリアになれば、かなり現実的になる。

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この前、ある若者がファーストクラスに乗ったレポートをしていた。とても面白いなと思ったのは彼の結論で、「乗ってみてわかったのだが、今後乗りたいとは思わない」というものだった。これが「身体と時間」ということで、彼は未知の領域を体験したことによって、何かが理解できた。

肉体と費やす時間の対義語は何だろう。それは「インスタントに他人の体験をググる」だ。他人の体験を知ることは知識としては大事なんだけど、それは行動のスタートラインであるはず。アメリカの古い映画を観て感激したのでルート66を自分のバイクで走ってみたいと思った、なんて人もいるだろう。

それがスタートラインであり、体験の扉だ。ここまでは本でもいいし、ググってもいい。ただ、「ルート66なんて、行った人の話では、つまらないらしいよ」などと、行ってないのに知った風なことを言うのがダメなのだ。食べたことがない料理をマズいと言ってはいけない。

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ファーストクラスに乗った彼は、自分の目で見て、自分の舌で機内食を食べて、自分のオケツでシートの快適さを感じ、それでも今後は乗らないと言っていた。これが「感想」であり「判断」だ。そうするためには時間とお金がかかる。だから、判断ができる人は時間とお金を使っているってことだし、そこに労力を割いた人の話しか誰も聞いてくれないのだ。

俺が残念だと思うのは、時間がないからとか、お金がないからという理由で何かを諦めている人が、いつの間にかそれを誰かのせいにすること。うちの会社は休めない、なんて言うんだけど、実際に上司に休みたいと言ったことはあるのかと言えば、ないと言う。つまり言わない方がいいと思う、忖度だ。

それの対価として得られるのは、自分がやりたいことを諦めてきた人生ってことになっちゃう。ずっと行きたかった場所があるなら行ってみるといい。そのときにクリアしなくてはいけない問題があるなら、ちゃんとそれが自分の置かれている立場を認識することになる。これだけでも収穫だし、実際の所そんなに大変なことではないことも多い。

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俺が好きな台北には、数時間で着く。安い飛行機だってホテルだってある。もしかしたら東京から九州あたりの温泉に行くのと金額は大差ないかもしれない。でも、まったく違う文化を持っている国に行くと、九州の温泉とは別の世界を見せてくれる。是非、体験して欲しいし、その話をあなたとしたい。

いつになるかわからないけど、今の状況が収まったら、また「旅に行く人」の応援をしようと思っている。

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。