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太ったボクサー:写真の部屋

noteには、これから写真を仕事にしようと思っている人がたくさんいるようなので興味深く読んでいます。自分はプロフェッショナルなので評価してやるなんて偉そうなことは思っていません。自分が始めた頃はどうだったかなとか、これからさらにどうすればいいかというように、同じ競技場にいる選手として見ています。

写真を撮るのが好きなのでそれを仕事にしたい、というシンプルな願望は誰でも共通のスタート地点で、まったく悪いことではありません。好きなことを仕事にできればそれ以上幸福なことはありませんから。

でもそこで他人が口を出しますよ。「好きなことで食えるほど、世の中は甘くない」と。それはそう言った人が好きな仕事をしていないからだと思います。自分ができなかったことを誰かが可能にすると嫌なので足を引っ張るわけですね。こういう人が言うことは全面的に無視していいです。

しかし「甘くない」というワンフレーズだけは憶えておくべきです。あなたの周りにいた野球大好き少年は、何人プロ野球選手になりましたか。おそらくゼロでしょう。それが答えです。誰でも野球やサッカーをしますけど、それを職業にして観客にお金を払って見てもらう価値を認められる人は、膨大な競技人口の中の、たった数百人だけなのです。

その選ばれた数百人は何をしたからそうなれたのでしょうか。彼らは子どもの頃からプロ野球選手、プロサッカー選手になろうと決めて、そうなっています。素質や体格などももちろんありますけど「そうなるべくしてなった」ので、偶然はあり得ません。皆と同じスタートラインに立ったときにゴールが見えていたということです。

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写真でも音楽でも何でもそうですけど、「今は先が見えていないけど、やり続けていればいつかどうにかなる」と思っている人がいます。それで、スタートからすでにゴール地点が見えている人と戦えるでしょうか。無理です。

たとえばボクシングをやりたいという人は、自分の目指す階級が定めた体重を維持しながらトレーニングをします。あり得ない話ですが、ボクシングの知識がなくデブデブだったらどうでしょうか。望む階級の試合には出られませんし、上の階級に出場しても負けるでしょう。チャンピオンになるためには体重をコントロールする、技術を磨く、精神を鍛える、などの訓練が必要だということが逆算できてわかっていれば、友だちとカラオケに行って藤井風を歌いながら唐揚げを食べたりしてはいないはずです。

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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。