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知らなければ知らないまま:写真の部屋

写真を撮り始めたうちは、できるだけ同じ方法で撮らないことをおすすめします。簡単に言えば「テーマや方法を決めない」ということです。

教育の弊害のような気もしていますが、勘違いしやすいのは「自分のやり方」を決めなければならない、という強迫観念に囚われすぎだと思うのです。そんなものは30年もやっていれば必ず身につく、というよりも自分のやり方以外で撮れなくなっていきます。

俺もいつも違う撮り方をしようと思っているんですが、張り切って人に見せると「いつものトーンですね」と言われてしまう。ですから最初から統一感やトーン、方法論を安易に狭めない方がいいと思っています。

また、何かテーマ(特にタイポロジー)があると、そこに収まるものを見つけただけで撮るようになってしまいます。たとえば「道ばたに捨てられたゴミ」を撮るとします。それを撮り続けていると、自分では一貫したテーマだと思ってしまうんですが、落ちているゴミを見つけたことで満足して撮ってしまいます。反対に、そこにあったはずのゴミではない他のモノに目が行かなくなる。

写真を撮り続けることは、飽きることとの戦いです。毎日通っている道であろうとも、毎日撮るのです。毎日撮れば毎日違う。その微妙な違いを感じられるようになることがグルメ化の訓練です。

わかりやすく言うと、写真を撮りはじめるとすべてが極端な方向に走ります。超広角、超望遠レンズ、高彩度、高コントラスト、大げさな開放ボケ、など。それらはカメラを使って特殊な表現ができることにうれしがっている段階です。そんなことよりもまず、確実にホワイトバランスを合わせる、正確な肌色を出す、フォーカスを完璧に合わせる、などの訓練をしましょう。

次にあげるのは簡単な一例ですが、これを知っておけば知らない人との差が大きくつきます。知らない人はずっと知らないまま、失敗写真を撮り続けることになります。

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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。