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「嘘をつくこと」

映画『羊の木』は、刑務所を出た殺人の前科がある6人を、実験としてある過疎の町に受け入れさせるという話だ。

それぞれの事情と、現在の心情の違いがあるんだけど、彼らは「前科があるのか」と聞かれるまではそれについて答えない。当然だ。聞かれていないことに答える必要はない。

クリーニング屋で働く元暴力団の初老の男性は、周囲から「ヤクザだ」と見抜かれる。

「人の印象は正しい」と言って、彼は店をやめようとするが、女性の店主は、「私はあなたが悪い人だとは思わない。だから私の印象も正しい」と、彼を引き留める。

元受刑者たちはまた悪事に戻ろうとしたり、更生しようと一生懸命だったりするのだが、ここに出てきた6人はそれぞれ、嘘をついていない。

相手が前科を嫌うのではないかと思って、「私に前科はありません」と自分から嘘をついてしまったら、本当のことを知られたときに信用がなくなる。言わなくてもいい。隠していてもいい。相手は前科なんて何も気にしないかもしれないんだから。

でも嘘をついて「なかったこと」にしようとするズルさは、必ず人に伝わってしまうものだし、反省のない「二度目の罪」として残ってしまう。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。