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楽しい話:Anizine(無料記事)

気軽に外国に行けない昨今。もうそのフレーズに飽き飽きしている人も多いはず。というわけで、あまりネガティブにならず、状況がよくなったらどこに行こうというポジティブな話をしたい。

今まで、一度も外国に行ったことがない人に向けて書き始めようと思う。ちょっと寒い夏の日にいきなりプールに飛び込んではいけないことくらい皆知っているだろう。まず胸に水をかけて準備をしてから。慣れていない人はいきなりアゼルバイジャンとかに行かない方がいい。無謀すぎる。日本から外国に行くとき、この「胸に水かけ」に適している渡航先がある。

俺のオススメは台北である。距離も近いし気軽に行ける。人々が親日なので旅に慣れていない人でも優しくしてもらえる。

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勿論、世界中を回った経験がある人も台湾が好きな人は多くいる。食べ物は美味しいし、街もコンパクトで、とにかく魅力的な場所なのだ。

さあ、次はどこに行こうか。2回目くらいじゃ何もわからないはずだけど、ちょっとだけチャレンジしてみたい気持ちもわかる。アジア、オセアニア、北米、南米、アフリカ、ヨーロッパの6エリアを回れば、だいたい一通りのことがわかると思う。俺が考える順番は、台北などのアジア、NYのようなわかりやすい北米の都市、パリやロンドンなどヨーロッパの大都市、そのあとは好みや趣味でアフリカ、南米、中東などに行くといいと思っている。

北米からヨーロッパ、この順番をできれば守って欲しいと思う。なぜなら、できるだけ知らないものを段階的に見ると楽しいからだ。最初にNYに行くと、日本とはまるで違う大都市であることに純粋に驚く。そのスゴさを堪能して欲しい。そのあとでパリやロンドンに行く。すると、前回感動したはずのNYの街が歴史的には「レプリカ」に見えてくる。これはNYをディスっているわけではなく、時代の必然で、ヨーロッパからアメリカに渡った人々が、アムステルダムの新しいヤツ、ハンプシャーの新しいヤツ、みたいに故郷のヨーロッパになぞらえながら、ニューヨークやニューハンプシャーを新大陸に作っていったわけだ。

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つまり、アメリカは「東武ワールドスクエアの原寸大スタイル」だ。だから、最初にいきなりヨーロッパに行ってしまうと、本物のエッフェル塔を見た後に東武ワールドスクエアやラスベガスに行ったのと同じで、感動が目減りする。もう一度言っておくけど、アメリカをディスっているわけじゃない。

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アジアとかアラブなどは何もないところにどんどん新しいビルを建てているダイナミックさがある。それはエキサイティングだし、現代的で面白い。しかし『ミッドナイト・イン・パリ』という映画を観たことがある人ならわかると思うけど、ヨーロッパは街の景観を数百年前から変えていないから、走っているクルマや人々のファッションを昔風にすれば街全体が過去にタイムスリップできる。そこがスゴい。街を「変えていない」というのは、変わっていないのとは違う。法律で外観を変えてはいけない街が多いのだ。

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そうやって街の景観、歴史の証拠を維持している。石造りの古い建物には時代の痕跡がそのまま残っている。何度かの戦争や革命の跡が歴史年表のように刻まれているのだ。半年ごとに風景がまるっきり変わってしまう渋谷のような場所にいると目が回る。数ヶ月前にあった建物さえ思い出せないくらいだ。

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異国の文化はできるだけ多く知っていると面白い。食べ物、言語、風景、宗教など、世界にはありとあらゆる「自分が知らないモノ」があるとわかる。知らないモノがあるとわかると、もっと知らないモノがあるはずだということも実感できる。

だから知らない場所に行くことは楽しいのだ。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。