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カメラが逆です:写真の部屋

写真は、対象物「A」に向けているカメラ「B」を結んだ直線で決まります。これは誰にでもわかりやすいですが、実はその先に自分の存在「C」が写っていることがとても大事なのです。

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もっと言ってしまえば、「なぜあなたはこの顔がデカい女の子を撮ろうとしたのか」という、「C」から「B」の短いラインに真実があるとも考えられます。

「B」から「A」のことばかりに気を取られると、何かを見失います。直線は距離が長い方が安定しますから、できれば「C」と「A」は心の距離が遠い方がいいんです。もちろんパッションは大事ですが、比喩としてそこに冷静さを残すって意味です。

「カメラで彼女を撮っている」ではなく「僕がカメラを操作して撮っているのは彼女である」というC-B-Aの構文で撮っている人の写真は人の心を揺らします。自分がカメラマンと一緒にその場にいるような、ロマンチックが止まらない気持ちになるからです。

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「B」のポイントが大事だと考える人は、いいレンズやカメラを手に入れることばかり言いますが、そうじゃありません。たとえあなたが600万円くらいのカメラで撮っても、一流写真家がそこに置いてあった誰かのEOS Kissで撮る写真を超えることはないでしょう。

それは「カメラの向きが逆」だからです。一流の写真家はどんなものを撮っても、それを撮った自分、を写しています。映している、とも言えるかな。

必要なのはいいカメラやレンズを買うことではなく、手に持ったカメラを逆に向けることです。

では、カメラの持ち方を逆にするにはどうすればいいでしょうか。

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写真の部屋

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。