見出し画像

動くモノ:写真の部屋

先日、山の中へロケに行きました。自然派とはほど遠い生活で、俺にそういう撮影を依頼してくる人は皆無なんですが、今回は面白そうなので引き受けることにしました。しかし「森の奥まで3時間歩きます、みたいなのはお断りですよ」と前もって伝えました。写真家の常盤響さんから聞いて共感をもった、「風呂場より遠いところはタクシー」という生粋の横着スタイルを俺も実践しているからです。

というわけで、設定されていた目的のロケ地は駐車場から徒歩1分半の場所でした。ありがたい。最高のプロデューサーです。

そこで二日にわたって撮影をしたのですが、想定外だったのは撮るモノが「動く」ということでした。俺はどんな撮影でも普段からできるだけ少ない枚数で撮ることを心がけています。デジタルでたくさん撮れるからといってバカスカ撮ると集中力が散漫になります。撮れたものをバカみたいにたくさん見せるのもよくありません。選べていないからです。

よく、フィルムの時は一枚一枚を大切に撮っていたものだ、などという老人がいますけど、そんなのは気持ちの持ち方で変わるので詭弁に過ぎません。デジタルだってフィルムだってシャッターの1回は同じなんですから。それを「コストの問題」にすり替える人もいますが、仕事ではフィルムは無尽蔵に用意していますからそれはまったく理由にはなりません。

画像1

しかし、動きモノだけは別です。不規則な動きをする被写体の場合はある程度たくさん撮っておかないと理想的な一枚が得られないことが多いのです。今回は焚き火の向こうにいる人を撮影したので、顔にどういうカタチで煙がかかるかは予測ができません。ある程度はわかるんですが、突発的に風が吹いたりしますから枚数はどんどん増えていきます。

そうなると別の大変さも生まれます。何でしょう。

ここから先は

497字

写真の部屋

¥500 / 月

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。