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6秒美人:写真の部屋

映画やCMに出てくる女優、モデルはどうして美しいのか、一緒に仕事をしたことがない人はわからないと思います。ですから簡単に説明しますね。元々美しいというのは最低条件なのでほっときますよ。

まず、女優さんがCMや映画などの動画を撮るとき、多くの場合は「6秒程度」しか写りません。例外として長回しと呼ばれる長いカットもありますけど、平均するとそれくらいで一度カメラが止まるのです。次にアングルを変えてカメラが回る前にヘアメイクが来て、髪の毛一本さえ顔にかからないように整え、喋った後にはリップを直します。

こうして2時間の映画を観た後には「なんてあの人は綺麗なんだろう」という印象しか残りません。陸上で言えば1メートル走みたいなことをしていて、それを100カットつないで100メートル走に見せているのです。美人のベストコンディションの積み重ねに素人がいくら対抗しようと思っても別次元なのでムリです。

たとえば映画祭があったとします。クルマから小さなバニティバッグを持って降りてくるスカーレット・ヨハンソンはピンヒールに背中がガッツリ開いたイブニングドレスを着ています。スカーレットがレッドカーペットを歩く姿を一目見ようと3時間前から待っているあなたは、子供のおしめやスマホやプリングルスや実印が入った大きなバッグを持っています。重い鞄をかけている腕には赤い跡がつき、汗だくでメイクもぼろぼろ。そこでとなりの旦那さんが「やっぱり女優は綺麗だなあ」と言う。

いや、違うんです。

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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。