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分配の構造:Anizine(無料記事)

この状況が落ち着いてからまだ4回しか海外には行っていませんが、とにかく「物価の違い」に愕然とします。日本がもはや先進国扱いではないことはさておき、数十年も賃金が上がっていない国は日本だけです。国の経済が落ち込んでいるわけではないので問題が「分配の構造」にあることは明白です。

先日、ある人からヨーロッパの物価について聞かれました。去年から今年にかけてドイツ、オーストリア、フランス、アイスランドなどに行って、それぞれの国による違いも感じました。あまり間を置かずに行っているのがフランスなので比較はしやすいのですが、この状況になる前と比べて食事やホテルなどは最低でも1.5倍から2倍にはなっている実感がありました。

アメリカ・ヨーロッパにおいて、1000円でまともなランチが食べられるところは皆無ですから、今の日本に外国の観光客が大挙して押しかけている理由がわかります。彼らにとってはただのような値段で丁寧に作られたモノが食べられますし、国内で一流とされるホテルの値段は1/3以下に感じているはずです。

しかし、助言を求められた知人は「それは大げさでしょう」と言うのです。今の物価上昇は数ヶ月単位で起きているといっても過言ではないと思います。前回パリに行ったのが1月ですが、その前に行った10月からでも変化を感じたほどです。その知人はもう7、8年ヨーロッパには行っていないようでしたが「大げさ」かどうかは行ってみればわかると思います。

もちろん欧米でも賃金の格差は大きいので平均値を論じる意味はないのですが、ボリュームゾーンからボトムラインの高さは十分感じます。特にアメリカの西海岸なら日本人の8割くらいは「貧困層」に振り分けられるのではないかと思いますが、それを嘆いていても仕方ないのでどうにかしましょう。賃金が上がらない「分配の構造」に文句を言っていても何も変わりませんから、他の収入源を作っておくことは大事です。

つい最近、あまり企業姿勢には期待していないのですが、TwitterのBLUEに登録しました。年間1万円程度の有料会員であることも、最低でも1万円のサブスクライブ収入を得られればプラスになると考えれば納得がいきます。

ここが大事なのですが、特にネットでは無料のサービスに限界が来ていると言えます。Twitterでも、何らかの方法でコンテンツに課金ができるとすれば、「その権利が買える1万円すら出し惜しんでいる」ことが経済全体の停滞を招いていると痛感します。よく言われることですが、自分のところに幸運が回ってくるためには、自分が先に他人に幸運をもたらさなければいけないのです。全員が幸運が巡ってくるのを待っていても無風の膠着状態ですから。

そのためにはnoteに代表される数々のプラットフォームが安定して継続することが大事で、インフラとも言える公共利益の大きな仕組みを、企業の論理で投げ出してしまうことのないように祈るばかりです。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。