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高齢者の恒例便乗企画:Anizine(便乗なので無料)

何度も書いているので、平林監督と私のマガジンを購読してくれているメンバーの皆さんは「また便乗か、テメー」と思われるでしょうが、本当に、私が書こうとした内容をほんの少し先に平林監督がnoteに書くんです。スミマセン。

さて、「中年はことごとくターゲットから外れている」という話はマーケティング論としても、ポジショニングの再認識としても重要な課題です。

これは商品やサービスのボリュームに関わる問題です。年齢で切り分けるとすれば、中年(特に男性)は購買能力が圧倒的に低いものです。

「今週、何にお金を使いましたか」と若い女性に聞くと、「えーと、推しのライブのチケット、遠くの会場にも行ったから新幹線のチケット、ホテル、アーティストのグッズと、ネイルと、秋物の服を買ったかな」などと言います。これと同じくらいサービスと商品にお金を使っている中年はあまり多くありません。ですからそんな部族がターゲットになるはずないんです。

でも不思議ですよね、JR、ライブ会場、ホテル、化粧品メーカー、アパレル、それぞれの企業で「おじさん」は一生懸命に働いているというのに、自分はターゲットからキッチリ外されているんです。

これは単なる可処分所得の問題だけではありません。知的な興味が枯渇していて、頭皮はギトギトなのに心はカッサカサなのです。ライブや演劇、映画などに行くとわかりますが、その客席にいるのはほとんどが若い女性とおばさまです。そのためにお金と時間をうまくやりくりして知的好奇心を満たそうと活動しているのは、残念ながら女性ばかりです。

おじさんの特徴は、「俺に便利なように世の中が動いてくれない」という幼稚な駄々っ子感覚で、それなのにお金は使いませんから企業論理としてターゲットから外すのは当然です。オジサンの中でもオタクじみた人は釣り竿を買ったり、鉄道模型を買ったりと経済に少しは貢献しているのですが、それも少数派ですよね。

加えて、おじさんは「自分の体験」という、ものすごく少ない調味料を使ってすべての料理を作ろうとするので、考えが新しいものに向いていきません。そしてあきらかに自分の知っている範囲からはみ出た「マリトッツォ」のような腹ごなしのためのものを、頭ごなしに否定にかかるのです。「そんなもの、興味ないわ」と。でもカフェではあなたにマリトッツォを食べて欲しいとは思っていませんし、来ないこともわかっています。

おじさんをターゲットにしたネットニュースを見るとウンザリしますね。メールにこういう文章を書くと若者に嫌われる、みたいな記事を読むのが大好きなんです。それに自分が当てはまっていなければ「俺はまだまだ感覚が若いぞ」と言いたがり、当てはまっていれば「くだらねえ、こんなコタツ記事」と憤慨します。コタツの中で。おじさんはあらゆる局面でフンガー!と憤慨していますが、どこにエネルギーを使っているのかと思います。そんな記事ばかり探して読む時間を別のことに使えばいいのにと感じます。

とは言うものの、よく不良などに「悪いことをするエネルギーをいいことに向けろ」という説教をする人がいますが、あまりに的外れです。そのエネルギーは原料が違うので無理なんです。大事なのは、水力、火力、包容力です。

ある人が言っていました。「あの頃はよかった」というのは、「あの頃までは、自分も時代についていけた」という、あきらめの言葉なのだと。

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。