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一日サボってごらん:Anizine(無料記事)

7日からグアムに行ってくる、という話をしたところ、「俺も行く」という人があらわれた。今までも「台北に小籠包を食べに行くけど、誰か行く?」っていう呼びかけに何人か参加してくれたりして、まあここで言いたいのは、俺は「ヒマで、ノリがいい人」が好きだってこと。

もしくは、ふざけた人、でもいい。旅行ってだいたい知っている人と行くことが多いよね。面識のある家族とか友人とか。パック旅行で知らない人と団体になるのとはまたちょっと違うんだけど、あらかじめ知っている人としか旅行に行かないっていうのは、いささかマジメが過ぎるんじゃないか。

「誰と旅行に行ってきたの?」「うん、知らない人」の方が、完全にふざけていて楽しいでしょ。

で、ここからは真面目な話になるけど「働き方改革」な。毎日一生懸命仕事をしていても、年に何度かの自暴自棄な「ふざけた行い」すらできないなんていうのは人間として間違っている気がする。年末やゴールデンウィークという「ここで休め」と決められた期間に全国民が集中したら、交通機関もホテルも混雑し、かつ値段が高くなるのは当たり前だろう。

それなのに「渋滞かよ、まったく」なんて言う。「僕だけ何の変哲もない時期に休みます」という勇気ある社員が出てこないことがわかっているから、経営者は平和なもんだ。でも実はそいつ一人が休んでも業務に支障なんか出ない。休むと言って、同僚や上司から自分が白い目で見られるのがイヤなだけだ。

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実際のところ、年末年始のハイシーズンに行くグアムのエコノミー航空券と、俺がこれから行くビジネスクラス航空券はたぶん同じくらいの値段だと思う。調べてないからわからないけど。そして調べる気もないけど。調べた結果を教えてくれなくてもいいけど。

俺はフリーランスなので、誰からも白い目で見られることなく、好きなときに好きに休んで旅行に行ける。もしそれを望むなら、一番チケットが安い時期に合わせて出かける予定を立てることも可能だ。

あれをしちゃいけない、これをしちゃいけない、と言われることや守ることに慣れてしまうと、立場が「傍観者」になってしまう。あの人はあんなことをやっていてふざけてる。あの人はあんなことをしていて羨ましい。と、何にたいしても自分が観客になってしまうのだ。

俺は旅が好きだから旅を喩えに出すけど、なんだっていい。ギターを習いたいとか、いいバイクが欲しいとか、それくらいの生活の楽しみを手に入れられないのに、立派な大企業に勤めているなんていうのはおかしいだろ。

日本に遊びに来ている多くの外国人観光客はそれほど裕福な人ばかりじゃないよ。でも平気で「一ヶ月、家族デ日本一周シマース。ニセコ行キマース」とか言ってる。きみらの知り合いの一流企業に勤めているサラリーマンで、そんな人はほとんどいないよね。

それほど大げさじゃなくても、会社をサボって一日だけ、オフィス街の喫茶店の窓から外を眺めてみるといいよ。皆が働いているのが見える。そこに右往左往しているのはいつもの自分だ。一生懸命真面目に働いているだろう。それを見ることがなければ、一生自分が働いている姿が、どう見えているかわからない。

小さい頃からラジオ体操のスタンプや、学校の皆勤賞なんかで、「一日でも休んでしまったら、今までの実績が無になってしまう」という強迫観念を植え付けられているんだよね。

だから、俺がグアムに遊びに行くよ、と言ったときに「俺も行きます」という人が出てきたことが、とてもうれしいわけです。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。