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チンダン化現象:Anizine

人生の中で、飛行機に乗り遅れた経験が二度あります。一度目はもう30年も前のことですが、九州でのロケハンに行くときでした。その頃は遠くにロケに行った経験があまりなく、緊張していました。それほど早い便ではなかった気がしますが、遅刻人間だった私は慎重を期して羽田空港のホテルに前泊することにしました。ベッドサイドにあるアラームをセットして寝ましたが目が覚めて腕時計を見ると飛行機が出発する時間を過ぎています。ベッドのデジタル時計は昨日とまったく同じ時間を表示していました。壊れていたのです。全身の毛穴からリンパ液が滲み出すほどの恐怖が襲ってきました。

空港ホテルをチェックアウトする際「アラームが壊れていた」と主張したのですが「あ、そうでしたか」くらいの対応でした。九州では「どうしてもその日のその時間しか予定が取れない」という現地のVIPを待たせていたのです。慌てて空港に行くとプロデューサーは先に向かったと言われました。あの時のことは四季折々に思い出しますが、いまだにマキンタが縮み上がる思いです。

そして二度目は去年のことで、もぎたてフレッシュです。

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Anizine

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写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。