モテるバンドマン:博士の普通の愛情
渋谷にいるとギターケースを肩にかけた若者をよく見かけるが、いつかこいつらの中の誰かがスターになるのかもしれないと思って眺めるのは楽しい。夢を追うのは問答無用にいいことだ。しかし、「どうやったら適切な夢の実現が可能か」なんていう参考書を読んでいる合理的な考えのヤツに魅力はない。何と言っても、ロックは破壊であり、破綻なんだから。
あるパンクバンドがレコード会社と契約するときの話を聞いた。会議室に呼ばれたバンドメンバーが書類にプロフィールを書いている。「音楽のジャンル」という項目に全員が真面目な顔で「パンク」と書いているのを見たとき、そこにいた若い社員はこらえきれずに笑ってしまったそうだ。書類に「パンク」とボールペンで書き込む姿と、パンクとの解離。
音楽をやっているヤツはモテるというのは事実でもあり、都市伝説のようでもあり、なかなか評価が難しい。ひとつだけ言えるのは音楽を楽しむならいいけれど、モテるなら趣味じゃダメだということ。音楽で一番カッコ悪いのは「真似事」だ。ムードを再現してもモテない。
いつも読んでくれている人ならわかると思うけど、ただわかりやすい例を持ち出しているだけで、これは比喩である。音楽をやるとモテる、などという話には何の興味もない。
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。