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Long eyes.:写真の部屋

昔、写真を載せたネットの個人ページに「Long eyes」という名前を付けていたことがある。俺の写真を見た外国人女性から、「あなたの写真を見ていると私も一緒に旅をしている気持ちになる」というメッセージをもらったことで思いついた。彼女は車いすに乗っていた。

そうか。俺のカメラは、その人や他の誰かの「遠い目」になることができるのだと思った。

最近行った場所で、俺の眼が一番長く伸びたのはどこだっただろうと考えたら、ブラジルだった。ブラジルはとにかく遠い。以前に撮影した日本在住のブラジル人モデルは、「帰国した次の日は、一日中何もできずに必ず寝ている」と言っていた。

俺はアメリカ西海岸で別の撮影を終えてからブラジルに移動したので、気を紛らわすことができた。東京から大阪まで行くのに名古屋で数泊した感じか。いや、その距離感を喩えに持ち出してしまうと、まったくスケールが伝わらない。

そんなわけで、行きはアメリカからブラジルに行った人と同じレベルでまあまあ元気だった。しかし帰りはブラジリアからサンパウロ、ニューヨーク経由で日本と、地区の裏側へフル移動だったから天文学的に疲れた。ちなみに日本の裏側はブラジルではなく、海の上です。

いつ、どこを経由して移動したかなどはだいたい憶えていない。記憶力が悪いのだ。そんなときに使うのがJAL MILEAGE BANKの「生涯マイル」のページで、今までに乗ったJAL便が載っているから思い出すことができる。

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俺は日本航空の仕事をしていたので、その土地に就航していない、などの理由がなければ必ずJALを使っている。国内線にはほとんど乗っていないな。

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ブラジリアで印象に残ったのは、もちろん都市計画をしたオスカー・ニーマイヤーの建築群だけど、それ以外にも素晴らしい建築物はたくさんある。この「Don Bosco Sanctuary」は外側の地味な雰囲気と内部のきらびやかさのコントラストが素晴らしかった。イタリアの聖人ドン・ボスコにちなんで、巨大なムラーノ・グラスでできたシャンデリアも美しい。

これは点灯していない状態だけど、教会の人に「つけて」と言ってお金を払うと1分ほどつけてくれる。撮影のために点灯してもらったら、他の観光客も写真を撮り始めた。「我々が払ったのに」などと言ってはいけない。

美は分かち合うものだから。

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世界中にある、ありとあらゆるものを見たい。そして、「一番好きな教会はどこですか」「一番青かった教会は」「一番古かったのは」「一番美しかったのは」と聞かれたら、全部違う場所の答えを持っていたい。

「ディズニーランド、最高」みたいなアメリカン・インダストリアル・パッケージで感情のすべてを終わらせたくないのだ。

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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。