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褒める難しさ:Anizine

俺レベルの丁稚でも自分が撮った写真を褒めてもらうことがあるが、聞かないことにしている。多くの場合、ホメに「根拠」がないことが多いからだ。

モノを作ったときの価値には厳然とした基準があって、それは仕事の評価にも直結している。報酬と言うと大至急生々しくなってしまうけど、10万円で頼まれる人と100万円を支払われる人とでは確実に評価の違いがあり、能力と報酬の関係が矛盾することはほとんどないから、動かしがたい現実としてそれはある。

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ゆるやかなホメに根拠がないというのはそこだ。「あなたの写真はいいですね」と言われて悪い気はしないと思うんだけど、それは誰かが食べた料理の写真が、「美味しそう」とコメントされるのと同じ。褒めた人がその店に食べに行くかという問題とは関係がない。簡単な言葉で言えばお世辞かもしれない。もしくは美味しい料理を食べたことがない人の評価かもしれない。

だからと言って、俺の写真を褒めてくれる全員が俺に仕事を発注せよとは言っていない。頼まれれば全力でうれしいが、問題はホメの質なのだ。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。