マガジンのカバー画像

Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
¥500 / 月
運営しているクリエイター

2023年1月の記事一覧

空回りしつつ、イタくない:Anizine

アーティストというのは「自分の作品を誰かが観たいのだ」と勘違いしている、と思っています。 俺は広告育ちなので、テレビ番組が盛り上がったところでカットインしてくるCMは「みんな見たくないんだ」というところから考え始めます。もちろん広告業界の人は「誰々さんのやったあのCMいいよね」なんて楽しそうに言うんですけど、それは狭い業界の話であって、ビデオにCMカットという機能がついていることや、震災の時に「こんなときに不謹慎だ」という理由でAC以外のすべてのCMが消えたことを思えば、な

コミュニケーション:Anizine

たった10日ほどの滞在だったが、それでもParisのムードに馴染む。さっき渋谷を歩いていたときはクルマがどちらの方向から来るのか一瞬だけ迷ったし。人間の反射はその程度の日数でも順応してしまうから恐ろしく、無意識でしていることの不思議さや怖さを感じる。ホテルに泊まるとき、エレベーターで自分の仕事場の階数ボタンを押してしまったりする。あの箱の中に乗り込んだら無意識で指がそれを押す行為をするだけで、そこでは何も脳のリソースを使っていないとわかる。 パリで信号待ちをしていたら目が合

Paris:Anizine(無料記事)

去年の10月に久しぶりにパリに行ったときは少し気分が高揚していたけど、今回はいつも通りの日々。特に何もやることがなく、ただひたすらカフェでコーシーを飲んで、美味しいものを食べに行くだけ。 前回と同じで機内食は『レフェルヴェソンス』。機内でこれくらいのクオリティのものが作れるということに毎回驚く。前回食べたサーロインをもう一度確認のために食べてみたが、やはり美味しい。 着いた日から三日間は小雨が降っていて寒く、体感温度は0℃を下回る感じだった。パリやニューヨークのような都会

推理小説の犯人:Anizine

推理小説を買う。その本を半年前に読んでいた人に「犯人は知っている」と言われる。それはそうだろう、読んだんだから。 さて、「これから本を読む人と、すでに読んだ人との関係」を例にして何を言いたいんだろうか。勘のいい定期購読メンバーにはわかるかもしれない。 問題はふたつ。知らない権利と、知っている権利、だ。 何かを体験するとき、最初に驚くことはかけがえのないものであり、知っている人はこれから読む人に推理小説の犯人を教えてはならない。その人はただ少し先に読んでいたというだけだか

6キロ痩せて240ページ:Anizine

定期購読メンバーの皆様、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 年初に自分に向けて書く目標の念書を達成できたおぼえがありませんでしょ。これは「ペース配分」を考慮していないからです。今年はあれをやりたい、これもやりたいと願うばかりで。どうすればできるだけ目標に近づけるかを考えていきたいと思います。まずは「一年を12に分ける」という斬新な方法を考えました。これはカレンダーとピッタリ重なることを発見しました。便利ですが、問題はここからです。