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空回りしつつ、イタくない:Anizine

アーティストというのは「自分の作品を誰かが観たいのだ」と勘違いしている、と思っています。

俺は広告育ちなので、テレビ番組が盛り上がったところでカットインしてくるCMは「みんな見たくないんだ」というところから考え始めます。もちろん広告業界の人は「誰々さんのやったあのCMいいよね」なんて楽しそうに言うんですけど、それは狭い業界の話であって、ビデオにCMカットという機能がついていることや、震災の時に「こんなときに不謹慎だ」という理由でAC以外のすべてのCMが消えたことを思えば、なくていいものです。

業界の中の話なんて無意味です。その証拠に僕らは水道工事のカリスマも、達人の調香師も知りません。業界の中ではおそらく「水道工事の未来フェス2023」や「香り:無限の可能性 in 幕張メッセ」などの話題で持ちきりだというのに。

アーティストが展覧会をするときも同じで、国宝の展覧会、ピカソの展覧会、オルセー美術館展、ヤマダくんの写真展、などが同時期に開催されているとして、ヤマダくんは、国宝やピカソやオルセーより興味を持ってもらえないと誰にも写真展に来てもらえません。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。