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Anizine

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。
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2021年7月の記事一覧

ボンヤリする会:Anizine(無料記事)

「人が集まっても有意義な話をしない」という趣旨で始めたボンヤリする会。数人でただただ雑談をするだけの集いだ。まあよく考えてみれば友だちと集まってもあまり意義のある話なんかしてないわけで、あえて言う必要はないんだけど、そこは徹底して無意味さを強調して。 最初は目黒の雅叙園に泊まって修学旅行みたいに枕を並べて朝まで話した。次は西麻布のマンションの一室、大崎のイベントスペース、恵比寿のガレット屋さんなど場所を変えて何度か開催した。最近は状況も状況なので表立って募集することもなく、

とても「ミーハーな人」:Aniine

まだやっているときに言うのはどうかと思うんだけど、俺はあまりオリンピックに興味がない。一部の種目については面白ければ観るけど、幕の内弁当のように、マイナースポーツも含め、全種目を均等にリスペクトしつつ観ろと言われても無理だ。むしろそっちの姿勢の方が差別的で、スポーツをナメてるでしょ。 東京での開催が決まった頃、ある知人が、「生きてるときに東京でオリンピックが観られるなんて楽しみだ」と言った。そしていきなり、「あなたなんかは斜に構えてるから、どうせ観たくないとか言うんでしょ」

ホテルに籠城した:Anizine(無料記事)

ニューヨークと言われて思い出すのは、何度か男ふたりでの旅行をしたことだ。 最初にN.Y.に行ったのは仕事の撮影だった。その数年前に遊びに行く予定だったのだが、ある事情で行けなくなった。ちょうどトランプ・タワーができた頃のことで、なぜ行けなくなったのかは『ロバート・ツルッパゲとの対話』にも書いたので、リンク先から購入のついでに読んでいただけると幸いである。 その時が初めての外国でのロケで、まったく英語ができなかったからとにかく恥をかいた。日本から同行した経験豊富な撮影スタッ

80階から飛び降りる:Anizine(無料記事)

「好きなことを自由にやるべきだ」ということを説明するとき、俺は「最終的には死んじゃうんだから」と言うことにしている。それ以外にない。 前にも書いたことがあるけど、人間は生まれた瞬間に80階建てのビルから飛び降りているのだ。地面に激突して死ぬ終わりの瞬間は誰にでも平等に訪れる。それが30階建てのビルなのか15階なのかはわからないが、とにかく自由落下をしている。有限な終わりが決まっていることがわかっているならなぜ生きるのかを問うのかが哲学である。プールへの高飛び込みのように、水

「ととのう」必要があるか:Anizine

ガレッジセールのゴリさんが温泉について語ったことを憶えている。 「芯まであったまる、という意味がまったくわからない」 わざと面白おかしく言っているんだけど、沖縄生まれのゴリさんにとって暖かさは十分足りているということだ。そこでサウナの話。これはかなり意見が違う人の無駄な反感を買う恐れがあるので、以下は、定期購読メンバー、もしくはサウナについて前々から納得できなかったことがあるので読みたい、という人にだけクローズドでお伝えしたい。

消えていった人々:Anizne

ソーシャルメディアで、俺のタイムラインから消えていった人たちがいる。 まったく面識がなく、ただ通りすがりにしつこく悪態をついてくるような人をブロックすることはあるけど、自分からはほとんど関係を遮断することはない。ソーシャルっていうのは社会だから、好むと好まざるとに関わらずさまざまな人がいることを容認しなくてはいけない。自分だって他人から見れば異分子だ。 タイムラインから消えた数人の共通点を考えてみると、だいたい50代か60代。過去に専門職として華々しいキャリアがあって、今