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消えていった人々:Anizne

ソーシャルメディアで、俺のタイムラインから消えていった人たちがいる。

まったく面識がなく、ただ通りすがりにしつこく悪態をついてくるような人をブロックすることはあるけど、自分からはほとんど関係を遮断することはない。ソーシャルっていうのは社会だから、好むと好まざるとに関わらずさまざまな人がいることを容認しなくてはいけない。自分だって他人から見れば異分子だ。

タイムラインから消えた数人の共通点を考えてみると、だいたい50代か60代。過去に専門職として華々しいキャリアがあって、今はほぼ仕事をしていない。知り合った瞬間に距離を詰めてきて「親友」みたいにコメントをしてきたかと思うと、自分の意にそぐわない話に激高して消えていく。

「自分はそうならないだろうか」と恐れていたんだけど、安心材料がある。過去に華々しい経歴がないからだ。ほっとけ。狭い業界であろうと、持ち上げられた人はその快楽を忘れられない。自分が若い頃に先輩を蹴落として地位を築いたことをすっかり忘れて、今、自らが排除される立場になったことを認識できない。昔のネームバリューで媚びを売ってくる人々だけが心の支えだが、それを簡単な「老害」なんて言葉には置き換えられない。

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Anizine

¥500 / 月

写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。