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博士の普通の愛情

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。
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2022年11月の記事一覧

『キツネ狩り』:博士の普通の愛情

近所の古本屋さんで美しい装幀の洋書を見つけた。イギリスの草原らしきものが描かれた表紙の、それほど古くないペーパーバック。ぱらぱらとページをめくるとあまり難しくなさそうな短い文章が並んでいた。英語を勉強している私は丁度いいテキストになりそうだと思ってそれを買った。古本屋のおじさんに、「エコロジーだ。袋はないよ」と言われて、私はそのまま本とお釣りを受け取った。店を出るとき剥き出しの本を持っているのは万引きっぽくてちょっと面白かったし、トートバッグにしまっても万引きの仕草に見えるの

奔放と純粋:博士の普通の愛情

ムン・ソリさんという俳優がいます。最初に彼女の演技に驚かされたのは、ヤクザで言えば自分史上4本の指に入る傑作である『オアシス』でした。 脳性麻痺の若い女性を演じた彼女の鬼気迫る演技力には誰もが感動したと思うのですが、最近たまたま『浮気な家族』を観たことで、他のムン・ソリ出演作品を探しました。『ザ・スパイ シークレット・ライズ』『家族の誕生』を観たのですが、どの映画も彼女の存在感とチャーミングさが映画を1ランク上にしていました。 『オアシス』は純粋な愛情を描いた問答無用の最

ソーシャルメディアでの振る舞い:博士の普通の愛情

ここ最近、人との距離感でいくつかの気になるできごとがありました。大したことではないんですが、それは恋愛の問題にも置き換えられるなと思ったので、ここに書いてみます。

戦うべきは幼稚さ:博士の普通の愛情

「金持ちの暮らしぶりはだいたい同じだが、貧乏人は全部違う」という言葉を聞いたことがある。言い得て妙だ。それが恋愛にも当てはまるんじゃないかと思っている。 極端なことを言えば「純粋な恋愛」というのは10代の中頃までで終わってしまうのではないかと感じる。それ以降は純粋だったときの幻影を追い求めているようにしか見えない。関西の言葉なら「しがんでいる」か。味がしなくなったものを押し入れから引っ張り出して味わうのは不幸か、と聞かれたら俺に明確な答えはないけど、恋愛に関する創作物に触れ

フランクで大ザッパな口調:博士の普通の愛情

他人への第一関門を突破するのは「口調」である。 初対面の誰かと話すとき、特に異性が相手の場合はフレンドリーさをコントロールするべきだということを知らない人が想像以上に多い。口調は関係性を表すから、たとえば互いに丁寧な敬語を使っている人たちは、周囲から見ても初対面だったり、ビジネスなのだということがわかる。 先日、ある仕事の現場でいきなりバチボコのタメグチでプライバシーに関わることを聞かれたことがあって驚いた。ビジネスの場でさらに初対面。隣にいたプロデューサーは長年一緒にや