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博士の普通の愛情

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。
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2022年10月の記事一覧

カナブン家族:博士の普通の愛情

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『女優』はダメだろうか:博士の普通の愛情

近頃は「女優」という言葉を使わない傾向にあるよね。なんでもジェンダーで切り分けず、全体を平等に「俳優」と呼ぶのが正しいという考え方自体には異論がないんだけど、「女優」という言葉の持つ華やかな印象がなくなってしまうのは勿体ないとも思っている。 ジェンダーによる差別というのは、それによって不愉快なカテゴリに押し込められたり、不当な対応をされることによる。「女は引っ込んでろ」とか「女のくせに偉そうに」なんていう前時代的な言い方や、試験の結果に性別で加点するなどの横暴はなくなればい

花束みたいな恋をした:博士の普通の愛情

脚本家の好き嫌いは「台詞」にあると思っています。それほどたくさんの映画やドラマを見ていないので偉そうなことは言えませんが、自分にとって心地よく響くのは山田太一さんと坂元裕二さんです。 やっと『花束みたいな恋をした』を観ました。監督の演出がどこまで脚本を忠実に再現しているかがわからないので、前半と最後、交互に組み合わされていくふたりの台詞にはやや戸惑いました。あまり坂元裕二さんのスタイルでは見かけない気がしたからです。しかしクライマックスのファミレスのシーンではどれひとつとっ

泣くんだ:博士の普通の愛情

「恋愛カウンセラーか。行きたくないな。なんだかうさん臭い」 「恋愛なんてそもそも全部がうさん臭いものだから仕方ないよ」 「そうか。うさんだけでできてるのが恋愛だよな」 友人の酒井と会ったとき最初は心療内科の受診を勧められた。そんなところに行くのは緊張するよ、と言ったあとに薦められたのが「恋愛カウンセラー」だった。恥ずかしながら俺は妻と別れたことで仕事や日常生活に大きな支障をきたしていた。もしリモート勤務が可能な時期でなければ今頃会社を辞めていたかもしれないと思う。 「ただ