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博士の普通の愛情

恋愛に関する、ごく普通の読み物です。
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2019年9月の記事一覧

ボンヤリする会:Anizine

10月中旬に、久しぶりに「ボンヤリする会」をやろうと思います。参加希望の方(Anizine、写真の部屋、博士の普通の愛情のメンバーならどなたでも)はコメントをしておいてください。

カナちゃん:博士の普通の愛情

カナちゃんの実家が栃木で温泉旅館をしているそうで、そこに行こうということになった。 川沿いの細い道に、彼女の運転するクルマが入って行く。いくつも旅館が並ぶ賑やかな温泉街だ。「なかなかいいところじゃん」と言うと、「昔よりは活気がないけどね」と答える。本格的にさびれた温泉街をいくつか見たことがあるので、これくらいなら十分流行っている方じゃないのかなと僕は思った。 実家を継げと言われた彼女は温泉の仕事が嫌いだったので、なかば強引に東京に出てきたらしい。それから数えるほどしかここ

珍しい苗字のジュリア。

ある集まりでイギリス人女性と知り合った。たぶん30歳くらいだと思う。 とても感じがよくて、俺の2歳児相当の英語も笑わずに、ちゃんと理解しようと聞いてくれた。家はロンドンから一時間くらいの郊外の街にあるという。俺はイギリスのことをほとんど何も知らないから何度かのロンドン旅行の話をしたら、もうネタ切れになった。 スコットランドやアイルランドに行った話題は敵対心を持っている場合もあるし、ブレグジットやブレグレットも微妙だからやめておいた。それよりも、男女が初めて出会ってブレグジ

博士の普通の愛情:好かれる女性。

女性って、好きじゃない人とでも遊びに行きますよね。 あれがとても不思議なんですけど、男は嫌いな人とは会わないものです。あるとき、人数が多い集まりに参加していて、隣同士でずっと盛り上がって話していた女性二人のうち、片方が帰りました。「仲がいいんだね」と残った方に聞くと、「あの子、性格悪いから大嫌い」と言うので驚きました。 それって、「嘘をついている姿」を見せてしまったことになります。 男は演技ができないから、嫌いな人と隣り合わせになったら仲良く振る舞うどころか、ほとんど話

博士の普通の愛情:珍しい人

ある友人に呼び出されてカフェで話した。彼は8年ほど同棲していた彼女と別れたのだという。 「そうか。それは残念だったね」と、くだらない慰めの言葉をかけた。くだらなくてもいいのだ。沈黙よりは。 俺は数年前に一度だけ彼女と会ったことがある。食事に行こうと友人を誘うと、「彼女も連れて行っていいか」と聞かれた。もちろん大歓迎だった。数年つきあっていると聞いていた彼女がどんな女性なのか、興味があった。 友人の家の近所の庶民的な焼き肉屋さんへ向かう。彼は大きなテーブルでひとりビールを

博士の普通の愛情:火宅の人

『火宅の人』を観ました。 恋愛というのは人それぞれが特殊な価値観で判断しますから、すれ違うことも多いですね。それは当然のことです。 火宅の人、である主人公の桂一雄はもちろん作者である、檀一雄です。本は若い頃に読みましたが映画は初めてです。率直な感想を言えば、あの小説を20代で理解できるはずがなかった、に尽きます。 主人公は40代、今となっては俺より年下です。 檀一雄の実際の娘である檀ふみさんも母親役で出演しています。これはなかなかに複雑な気もしますけど、女優というのは

Aomori in September.

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