カナちゃん:博士の普通の愛情
カナちゃんの実家が栃木で温泉旅館をしているそうで、そこに行こうということになった。
川沿いの細い道に、彼女の運転するクルマが入って行く。いくつも旅館が並ぶ賑やかな温泉街だ。「なかなかいいところじゃん」と言うと、「昔よりは活気がないけどね」と答える。本格的にさびれた温泉街をいくつか見たことがあるので、これくらいなら十分流行っている方じゃないのかなと僕は思った。
実家を継げと言われた彼女は温泉の仕事が嫌いだったので、なかば強引に東京に出てきたらしい。それから数えるほどしかここ