140字小説「満月の森で」

この街では時々少女がいなくなります。
森のあるじに見初められ連れ去られてしまうのです。

主の館には着飾り眠らされた少女が入った箱がずらりと並んでいます。

彼女たちが目を覚ますのは満月の夜だけ。
その夜、娘たちは青白い光を浴びて一晩中踊り続けます。
束の間の自由を貪るように、惜しむように。


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