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140字小説「命の色」

色を消す眼鏡を掛けてみないか?
突如現れた男が言う。

巷に溢れる極彩色に疲れ切っていた俺は迷わず頷いた。

色を無くした世界に咲く花、飛ぶ小鳥、笑う幼子。
みな虹色の光を振りまいている。

これは命の色だ。
毒々しい世界でも消えることない命の色。

この光景を忘れない。

俺はそう誓い男に眼鏡を返した。

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