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ショートストーリー

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ちいさな物語を書いています。 月や星、魔女をモチーフにした作品が多いです。 目標はいつか一冊の本にすること。
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2021年2月の記事一覧

140字小説「ちいさな綿毛」

まもなく旅立つ綿毛の兄弟たち。 みんな、自分が一番遠くまで飛んでいくのだと張り切っていま…

140字小説「秘密の香り」

森の奥の工房で作られる香りは、不思議な力を持つという。 その人のために調合された香りを纏…

140字小説「遅すぎたありがとう」

点滅する蛍光灯で、あなたがいないと思い知る。 自分で換えたことなんてなかったから。 重い…

140字小説「悲しい痛み」

双子の兄に裏切られ 故郷を追放された少年は 夜毎泣きながら自分を傷つける。 感覚を共有する…

140字小説「ある冬の日に」

寒い 寒い ある冬の日。 北風が 忘れ物のかざぐるまを からからと回して遊んでいたよ。 「…

140字小説「枯れない花を。」

花を手に渡し舟を待つ少女がひとり。 花が枯れる前に母親と会えたら 一緒に極楽へゆけるのだ…

140字小説「僕のガラティア」

一生一緒だと誓ったのに、突然姿を消した君。 金色の巻き毛、長い睫毛、細い指、薄紅色の唇。 忘れられない記憶の中の君を人形にしよう。 仕上げに、僕の血をひとしずく。 真っ白な頬が薔薇色に染まる。 目を開き、甘い吐息をついて、花のように微笑む君。 おかえり。 もう絶対に 離さないよ。 *** 今日のお題「血・機械人形・雫」

140字小説「天使との約束」

時計塔の鐘が鳴る。 後ろ髪をひかれながら、今日も僕は本を閉じる。 ここは天空の図書館。 神…

140字小説「偽りの天使」

どうやらみんなの目には、あいつは清らかな天使に見えているらしい。 でも、僕の目に映るあい…